ソフトウェアテストのSHIFT(シフト)、成長再加速で株価は上場来高値更新!

 ソフトウェア検証テストなどのアウトソーシング請負事業をおこなっているSHIFT(シフト)。2021年7月8日に業績を公表した結果、翌営業日の7月9日には前日比+15.2%の株価上昇。これまでの上場来高値を大きく更新した。SHIFTの業績と株価はどうなるのか?

ソフトウェアテストのSHIFT(シフト)、計画上回る水準で大幅高!(2021年4月10日時点)

ソフトウェアテストのアウトソーシングのSHIFT(シフト)、収益性の回復の行方は?(2021年1月9日時点)

■基本情報(2021年7月9日時点)

  • 株価:19,300円(10年来高値:19,320円)
  • 時価総額:3,406億円
  • 予想PER:161倍
  • PBR:15.9倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:65.5%
  • 会計基準:日本基準

■SHIFTの業績は?

 SHIFTの2021年8月期の第三四半期の売上高は329億円(前年同期比+58.7%増)、営業利益26.4億円(前年同期比+60.8%増)の増収増益となった。SHIFTの売上総利益率は+29.9%(前年同期は+31.7%)、営業利益率は+8.0%(前年同期は7.9%)とほぼ前年同期と変化はない。

 SHIFTの売上構成はテスト案件(売上比率:56.2%)、高付加価値サービス(同:8.3%)、開発案件他(同:35.5%)となっている。テスト案件の売上総利益率は+32.3%、高付加価値サービスは+61.4%、開発案件他は+18.7%となっており、いかに売上総利益率の高い構成に改善していくかが大きな課題だ。

■SHIFTの販管費内訳は?

 SHIFTの2021年8月期の第三四半期の販管費は71.9億円(前年同期は49.2億円)と前年にくらべて+46.1%増となった。売上高が前年同期比で約60%増えているので、それほど問題ないが、マネーフォワードやラクス、freeeなどのクラウドIT企業とはビジネスモデルが異なることに注意が必要だ。

 SHIFTはソフトウェアのテスト案件をメインで行っているが、実態は労働集約型のビジネスモデル。連結ベースでの従業員数はすでに約6000人。いかに安定して従業員数を確保するかが重要で、人員採用の採用費に3か月で7億円を投入している。SHIFTの販管費の内訳でもっとも比率が高いのは人件費。おそらく、前年比+60%で成長している企業であるため、いかに新規案件を開拓するかが重要となっているので営業人員も大きく増やしていると思われる。なお、四季報をみると、SHIFTの年間平均給与は約560万円とそれほど低いわけではない。

■財務的には余裕あり、M&Aで攻める!?

 SHIFTは2020年10月に約100億円の公募増資を行い、財務的にはかなり健全だ。2021年5月末時点で現預金を136億円もっている。SHIFTの決算説明資料を読むと、現時点で257億円の投資余力(現預金と借入)があり、将来的な増資を考慮すると合計で約857億円の最大投資余力があると説明している。

 前年比+60%で成長するには、M&Aが必須。将来的に魅力のある会社は企業価値が高くなっており、安値で企業を買えるタイミングではない。SHIFTのB/Sを見ると、2020年8月末の「のれん」は30.3億円だったものが、2021年5月末では66.8億円と約9か月間で+36億円ほど増えている。

 SHIFTはすでに前回増資のロックアップ期間(新規での増資などができない期間)が終了しており、株価を見ながら増資を行う可能性はありえる。すでに株価は1株あたり2万円近いため、1単元(100株)あたり200万円が必要になることを考えると、株式分割によりさらに株価が上昇させる可能性もありえる。増資と株式分割どちらか、または両方がいつでも発生してもおかしくない状態となっていることに注意が必要だ。

■SHIFTの株価推移は?

 SHIFTの時価総額は約3,400億円。2021年7月9日に前日比+15.2%上昇した結果、たった1日で時価総額が400億円ほど増えた計算となる。SHIFTの年間営業利益は約34億円のため、現在の10年分が1日で増加した計算となる。

 いまの株式市場は、コロナショックで急騰した銘柄でも2つのパターンに分かれている。1つは将来性から上昇をつづけている銘柄。たとえば、freee、ラクス、Sansan、マネーフォワード、SHIFTなど。現在の利益から考えると、説明できない株価(時価総額)となっている。

 もう一つは、将来性はあるけれど下落している銘柄。Jストリーム、メドピア、HENNGE(へんげ)、すららネット、出前館、ブイキューブなど。これらの違いは、海外投資家が好む銘柄かどうかではないか?いまの海外投資家はクラウドIT企業やITサービス企業に積極的に投資しているが、そのなかでも資金を入れる銘柄と引き上げる銘柄に分かれるが、サブスクリプション型やリカーリングモデルなどに資金が集まっているような気がする。はたして、SHIFTの株価はどこまで上昇するのだろうか?

(画像1)SHIFTの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする