新聞や雑誌などのニュースなどをスマホでまとめて配信するアプリを展開するGunosy(グノシー)。Gunosyの売上高は前年比でマイナスに突入し、成長を感じられなくなってしまった。Gunosyの株価は高値から3分の1以下の水準まで下落し、再浮上の兆しが見えない。この危機的な状況から、Gunosyが業績を挽回するチャンスはあるのか?
■基本情報(2020年5月29日時点)
- 株価:926円
- 時価総額:221億円
- 予想PER:38.4倍
- PBR:2.03倍
- 予想配当利回り:0%
■止まったGunosyの成長、挽回策は?
スマホで見るニュースアプリと言えば、数年前までは「Gunosy」か「スマートニュース」が一般的だったものの、今では「スマートニュース」のほうが圧倒的に多いのではないだろうか。かつて、「Gunosy」を利用していたとき、「Gunosy」のアプリからのプッシュ表示が多すぎて、うっとうしくなりアンインストールしたのは4年前ほど。現在は「スマートニュース」と「ヤフーニュースアプリ」を活用中。
気になってGunosyの状況を調べてみると、配信アプリ「Gunosy」自体はゆるやかではあるがアクティブユーザー数は増加傾向。Gunosyという企業としては、KDDIと共同開発したニュース配信アプリの「ニュースパス」を2016年6月より展開し、全体としてはアクティブユーザー数は増加トレンドを継続中。しかし、業績がついてきていない。
2019年5月期は売上高150億円、営業利益23億円だったものの、2020年5月期の予想は売上高140億円、営業利益10億円と減収減益。施策としてあげているのは、広告主数の増加、コスト削減、メディア・広告以外の収益源の開拓としているが、いずれも簡単な施策ではない。正直、具体的な挽回するための策が見えていない。
■Gunosyの付加価値が見えない!
Gunosyとしては、「Gunosy」「ニュースパス」「LUCRA(ルクラ)」「ゲームエイト」など複数のメディア事業を展開しているが、それぞれの収益は公表されていない。ニュース配信アプリの事業はビジネスモデルが個人投資家からは見えにくい。Gunosyは、自社ではニュースなどのコンテンツは制作しておらず、新聞・雑誌などからニュースなどの提供を受けている。ここにコストはどのくらいかかっているのか?
たしかに、ニュース配信アプリのなかに広告を挿入することにより、広告収入を得ていることはわかるが、原価(コスト)の部分が見えない。Gunosy自身はニュース配信アプリをダウンロードしてもらうためにテレビCMなど広告を行っている。
単純にニュースを集めて配信し、広告を掲載しているだけであれば、同じことをする企業のハードルはそれほど高くない。Gunosyの弱点としては、ニュース配信アプリが増え続けるなかで、いかに付加価値を出していけるかが見えてこない点だ。最近ではニュース配信アプリ同士の戦いではなく、ユーチューブ(YouTube)やAbemaTV、Hulu(フールー)、Amazon prime TV(アマゾンプライム)など動画配信サイトとの競争も考えなければならない。
■Gunosyの株価推移は?
Gunosyの株価推移を見ると、すでに天井をつけて下落トレンドがつづいている状況だ。売上高がすでに前年比マイナスに突入しており、株価は成長期待が抜けている。年間の営業利益が10億円レベルであれば、時価総額220億円はすでに過大評価されている水準。
業績の挽回が見えなければ、さらなる下落も予想される。やはり、メディア・広告以外の新しい事業の柱が必要だ。Gunosyの株価の動きとしては、クックパッドやアイスタイル(「@コスメ」展開)などの成長期待が抜けた企業と同じ株価推移をたどっている。
以 上