円安で苦戦の良品計画(無印良品)、中国の復活が期待か!?

 「無印良品」を世界で展開している良品計画。売上高は前年比プラスであるものの、円安の影響で国内事業の利益率が大幅悪化。営業利益は前年の半分の水準となった。良品計画の稼ぎ頭は中国事業であり、アウターコロナで復活を期待するしかないのか?

■基本情報(2023年1月6日時点)

  • 株価:1,562円(10年来高値:4,120円)
  • 時価総額:4,386億円
  • 予想PER:19.3倍
  • PBR:1.7倍
  • 予想配当利回り:2.56%
  • 自己資本比率:58.3%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:12万9,179人(2022年8月31日時点)

■良品計画の業績は?

 良品計画の2023年8月期の第一四半期の売上高は1,369億円(前年同期比+11.4%増)、営業利益50.2億円(前年同期比△54.9%減)の増収減益。売上総利益率(営業総利益率)は+45.7%(前年は+48.6%)、営業利益率は+3.7%(前年は+9.1%)と悪化している。

 売上総利益率が前年比で△2.9ポイントも下がっており、円安の影響により仕入コストが大きく上がっていることが要因だ。良品計画は2022年12月26日に価格改定を発表しており、全体の2割の商品を平均25%アップさせると発表している。そもそも、良品計画の地域別損益をみると、日本国内は売上高が全体の約半分と大きいものの、利益率がそれほど高くない構造になっている。この部分に値上げを入れて対策を織り込んだ形だ。

■良品計画の地域別損益は?

 良品計画の2023年8月期の第一四半期の地域別損益をみると、日本国内は売上高817億円、営業利益66億円、営業利益率8.1%、海外事業は売上高551億円、営業利益81億円、営業利益率は+14.8%となっている。この損益にプラスしてグローバル販管費が加算され、全体では営業利益率+3.7%となっている。

 良品計画の店舗数は、日本国内525店舗、海外593店舗と海外のほうが多い。海外では中国本土が337店舗と国内に次いで多い。いまは中国本土がコロナの影響で経済活動が抑制気味であることが良品計画の業績に影響したと言えるだろう。

■そもそも良品計画とは?

 良品計画は1980年にスーパーの西友がプライベートブランドとして開発した「無印良品」というブランドがベースだ。西友、西武百貨店、ファミリーマート、阪神百貨店に出店し始めた。当時のキャッチコピーは「わけあって、安い。」だ。

 1989年6月に西友の100%子会社として設立され、1995年にジャスダック店頭公開、1998年に東証二部上場、2000年に東証一部に変更となった。

■良品計画の財務状況は?

 良品計画の2022年11月末の財務状況をみると、現預金は748億円、商品1,430億円、有形固定資産762億円、無形資産292億円などが並んでいる。いっぽう、有利子負債は約500億円と財務状況は健全だ。

 小売・メーカーのような良品計画は店舗出店の固定資産を取得しており、資産規模が大きい。しかしながら、粗利が高いビジネスモデルのため、それほど負債のレバレッジを効かさずに成長できている印象だ。

■良品計画の株価の行方は?

 良品計画の時価総額は約4,400億円。年間売上高5,850億円、営業利益340億円と規模が大きいながら、新型コロナウイルス感染拡大の2020年8月期の大幅売上減を除き、堅調に成長をつづけている。この規模感で前年比+10%以上の成長をしており、まだまだ成長が期待できそうだ。

 将来的に売上高1兆円になった場合、営業利益は800億円(営業利益率+8%で計算)、税後利益560億円。PERを+15倍で計算すると、時価総額8,000~9,000億円くらいになる可能性はある。いまの時代、値上げのタイミングとしてはベストであるものの、売上高への影響は2Qを確認する必要がある。割高な株価ではないのでは?

(画像1)良品計画の株価推移

以 上

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