アマゾンのAWS、マイクロソフトのAzure、グーグルのGoogle Cloudなど顧客のクラウド化のサポートやライセンス販売を通じて、PaaS（Platform as a Service、クラウドのプラットフォーム提供）やIaaS（Infrastructure as a Service、インフラ提供）を実施しているBeeX。BeeXはBe ExcitedやBee（蜂、媒体）から創った造語だ。BeeXの業績と株価の行方は？
■基本情報（2023年4月28日時点）
- 株価：2,611円（10年来高値：5,880円）
- 時価総額：58億円
- 予想PER：18.6倍
- PBR：3.51倍
- 予想配当利回り：0%
- 自己資本比率：49.5%
- 会計基準：日本基準
- 株主数：904人（2022年2月28日時点）
■BeeXの業績は？
BeeXの2023年2月期の売上高は57.6億円（前年比+32.2%増）、営業利益4.0億円（前年比+46.9%増）の増収増益。BeeXの売上総利益率は+18.3%（+18.8%）、営業利益率は+7.0%（前年は+6.3%）。
BeeXの売上総利益は前年8.2億円→10.5億円と+2.3億円の増加、いっぽう、販管費は前年5.5億円→6.5億円と+1.0億円の増加となり、差し引きで+1.3億円の増益となった。
販管費の内訳（5.5億円→6.5億円）も決算短信で開示しており、中身をみると、従業員の給与を+17%増加させており、前年2.0億円→2.4億円と+0.4億円の増加となっている。
■BeeXの事業内容は？
BeeXのメイン事業は、クラウドライセンスのリセールだ。AWS、Azure、Google Cloudの3つのライセンスを提供している。これが売上高の約６割となっている。クラウドインテグレーションとして、SAP移行対応やクラウド環境の開発などが28.6%となっている。最後に、マネージドサービスプロバイダーとして、24時間365日体制で顧客のクラウド環境の運用・監視するサービスをしている。
簡単に言うと、クラウドをメインとしたサービスを提供している裏方企業というイメージだ。消費者が直接目にする企業ではないため、なかなか知名度は上がらないかもしれない。2023年2月末時点で従業員数は140名、設立は2016年3月と新しい。なお、2022年2月末時点で、テラスカイが親会社として69.66%、サーバーワークスが3.31%保有している。
クラウド導入支援のテラスカイ(3915)、高成長で株価の行方は？（2020年5月30日投稿）
AWS(パブリッククラウド）導入のサーバーワークス、低収益が悩ましい（2021年3月9日投稿）
■BeeXのKPIハイライト！
BeeXのKPIハイライトをみると、クラウドライセンスのアカウント数は380アカウント（前年同期は249アカウント）、ストック売上高比率は71.4%（前年同期は67.6%）と堅調な数値となっている。なお、BeeXの売上総利益率は約18%のため、営業利益率が+10%を超えることは難しいだろう。
2024年2月の業績見通しは、売上高69.1億円、売上総利益13.0億円、営業利益4.2億円、売上総利益率+18.8%、営業利益率+6.2%となっている。売上高が前年比+20%と大きく成長するものの、販管費が大きく増えることで、利益としてはそれほど残らない計算になる。
■BeeXの財務状況は？
BeeXの2023年2月28日時点の財務諸表をみると、現預金は11.6億円。有利子負債は2.0億円、契約負債（前受金）は4.0億円となっている。契約負債が前年同期の3.1億円→4.0億円に増えているため、ストック売上高が堅調に積み上がっていることが財務諸表からも読み取れる。
BeeXのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+3.4億円のプラス、投資CFは△56百万円のマイナス、財務CFは短期借入金2.0億円の返済により△1.3億円のマイナスとなり、現預金は+1.4億円の増加となっている。
■BeeXの株価推移は？
BeeXの時価総額は約60億円。ストック売上高で安定しているものの、自社製品ではなく、他社の製品ライセンスの販売やそのクラウドのインテグレーションを事業領域として爆発的な利益の積み上げは難しいビジネスモデルかもしれない。従業員としては安定して働ける優良企業であるものの、投資家からすると株価の高騰を期待することが難しいかもしれない。
ただ、時価総額100億円くらいまでは相場の趨勢により上げ・下げは起こりうるだろう。また、前年比+20%の成長が続くようであれば、利益率がそれほど高くなくても堅実に5～10年くらいで株価は堅調に高くなるかもしれない。
以 上