業績好調の小田原エンジニアリング、前受金が急増とEVの影響か?

 自動車、家電製品、OA機器などに使われるモーター。モーターの巻線設備をつくっているのが小田原エンジニアリング。モータ用の巻線設備のグローバルリーダーと言われている。2023年12月期の営業利益率は+13.7%と2ケタを突破。製造メーカーとしては収益性の高い分類に入る。電気自動車(EV)の需要も高まってくると思われ、今後が期待される企業だ。

小田原エンジニアリング、電気自動車(EV)に必要なモーター用巻線設備の行方は?(2021年2月28日投稿)

■基本情報(2024年4月26日時点)

  • 株価:1,832円(10年来高値:4,680円)
  • 時価総額:117億円
  • 予想PER:8.7倍
  • PBR:0.66倍
  • 予想配当利回り:2.72%
  • 自己資本比率:58.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:3,792人(2023年12月31日時点)
  • 事業価値:36億円

■小田原エンジニアリングの業績は?

 小田原エンジニアリングの2023年12月期の売上高は147億円(前年比+4.4%増)、営業利益20.1億円(前年比+108%増)の増収増益。小田原エンジニアリングの売上総利益率は+31.3%(前年は+24.5%)、営業利益率は+13.7%(前年は+6.9%)と大きく利益率を改善している。

 小田原エンジニアリングの売上総利益は前年の34.6億円→46.0億円と+11.4億円の改善、販管費は前年の24.9億円→25.9億円と+1.0億円の増加となり、差し引きで営業利益は+10.4億円の改善となった。

■小田原エンジニアリングの事業状況は?

 小田原エンジニアリングが注目されるのは電気自動車(EV)向けの車載用全自動モーター巻線システムに注目されているからだ。中国、北米を中心に好調で、消耗品や予備品が好調に推移している。消耗品や予備品で利益をあげるメーカーが多く、小田原エンジニアリングの事業モデルとして利益の上がりやすい構造になっていることが推測できる。

 好調な巻線機事業とは別に、送風機・住設関係の事業は前年割れとなっている。利益も巻線機事業が稼ぐ構造となっている。しかしながら、小田原エンジニアリングの開示情報はそれほど充実しておらず、最近のビジネス状況はよくわからないのが実情だ。

■小田原エンジニアリングの財務状況は?

 小田原エンジニアリングの2023年12月末時点の財務諸表をみると、現預金は81億円、棚卸資産は84億円、有形固定資産は48億円となっている。負債をみると、有利子負債はゼロ、契約負債(前受金は62億円)となっている。財務的には極めて健全だ。

 キャッシュフロー計算書をみると、前受金が28億円増えたこともあり、営業CFは+38.1億円のプラス、投資CFは△2.4億円、財務CFは短期借入金の返済△30億円があり、△31億円のマイナスとなっている。結果として、現預金は+4.5億円の増加となった。

■小田原エンジニアリングの株価推移は?

 小田原エンジニアリングの時価総額は約110億円。業績は好調であるものの、電気自動車メーカーのテスラ、BYDなど補助金の削減などの影響で販売が低迷しているニュースがあり、電気自動車関係の銘柄の株価がさえない。小田原エンジニアリングもその1つ。ダブル・スコープは大きく株価を下げている。

 しかしながら、小田原エンジニアリングの業績は好調であり、2024年12月期の業績予想は控えめな印象がある。売上高は前年比+12.2%伸びるものの、営業利益は前年割れと控えめだ。

以 上

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