DXに力を入れるKAIZEN PLATFORM、「顧客体験」のカイゼンがキーワード!

 顧客に伴走し、デジタルを加速して「顧客体験」をカイゼンして事業成長をサポートするKAIZEN PLATFORM(カイゼンプラットフォーム、以下、KAIZEN)。デジタルマーケティングを事業領域に、コンサルティング、マーケティング、IT開発をサポートする企業。アマゾン、IDOM、NTT東日本、大阪ガス、KDDIなど日本を代表する大企業とも多く取引している。今後の業績と株価の行方は?

■基本情報(2024年5月2日時点)

  • 株価:250円(10年来高値:2,571円)
  • 時価総額:42億円
  • 予想PER:ー(赤字予想)
  • PBR:1.33倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:72.1%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:8,081人(2023年12月31日時点)
  • 事業価値:23億円

■KAIZENの業績は?

 KAIZENの2023年12月期の売上高は43.4億円(前年比+62.8%増)、営業利益△25百万円(前年は△1.0億円の赤字)と増収赤字幅の縮小となった。KAIZENの売上総利益率は+30.7%(前年は+35.8%)と約5.1ポイントの悪化。売上規模が大きく増えており、事業構造が大きく転換していると思われる。

 KAIZENの売上総利益は前年の9.6億円→13.3億円と+3.7億円の増加、販管費は前年の10.6億円→13.6億円と+3.0億円の増加となり、差し引きで営業利益は+0.7億円の改善となったものの、引き続き、営業赤字となっている。

■KAIZENの事業内容は?

 KAIZENの事業内容はわかりにくい。正直、IR資料をみても、よくわからない。デジタル、マーケティング、IT開発などのキーワードが出てきて、デジタルトランスフォーメーション(DX)がテーマであり、事業領域であることはわかるものの、具体的にどのようなソリューションを提供しているかは不明だ。

 おそらく、デジタルを領域としたコンサルティングサービスがメインではないだろうか。その場合、大手の総合コンサルであるアクセンチュア、アビームコンサルティング、ベイカレント・コンサルティングなど競合他社が多数いる。そのような競争環境で勝つことができるのだろうか?

■ハイウェル社の連結開始!

 2023年度のKAIZENの売上高が大きく伸びている理由は、HR領域に強いハイウェル社(2007年6月設立)を子会社化したことが理由。KAIZENのB/Sをみると、約6億円の、のれんが計上されており、子会社化にあたり純資産以上の価値として6億円以上を支払っていることがわかる。

 いっぽうで、ハイウェル社を買収して粗利率が大きく下がっており、KAIZENの成長感は演出できたものの、本当に企業価値が上がったかは不明点が残る。ハイウェル社の売上高加算により、年間売上高は約20億円増加。しかしながら、引き続き、利益がでない状況だ。

 正直、数あるデジタルコンサルティングのなかで、KAIZENがどのような強みを持っているか決算説明資料だけでは不明。

■KAIZENの財務状況は?

 KAIZENの2023年12月期の財務諸表をみると、現預金は25億円、無形固定資産8.3億円となっている。負債は、有利子負債が6億円。財務的には健全であるものの、利益剰余金は△25億円のマイナスで、利益がまったく出ていない状況が続いている。

 KAIZENのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+78百万円、投資CFは定期預金の預け入れ△7.9億円があり、△8.2億円。財務CFは借入金の返済などがあり△9.1億円。現預金は△16億円減少となり17.0億円(定期預金を除く)。

 KAIZENは2020年12月に上場。上場時に約20億円を調達。いっぽうで、既存株主は45億円の株式を売り出した。コロナ後のデジタルバブルのときに上場しており、上場時の初値は時価総額180億円(現在の時価総額は約40億円)。現状、株主のほとんどが含み損を抱えている状況だ。

■KAIZENの株価推移は?

 KAIZENの時価総額は約42億円。ハイウェル社を2022年10月に買収しており、その買収がなければ成長していないと言えるだろう。2023年度は業績予想を下方修正しており、自ら計画したものが達成できていない。特に、売上高が未達であるのはグロース銘柄としては悩ましい。

以 上

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