債務超過寸前のブイキューブ、米国子会社のれん減損の影響が大きい!

 V-CUBEミーティング(ZOOM)などのWeb会議(テレビ会議)や公共向け・企業向けにテレワーク機材(テレキューブ)を販売するブイキューブ。ブイキューブは米国のイベントDXと呼ばれるウェビナーのシステム開発・販売および配信を行っているXyvid社を2021年5月に買収。当時のニュースをみると、取得金額は16.5億円と報道あった。しかしながら、のれん全額減損が32.2億円のため、報道が正しくなかったのだろう。

コロナ特需が消失!?ブイキューブの収益成長がストップか?(2021年12月5日投稿)

Web会議から製薬ウェブ講演会まで映像サービスのブイキューブ、テレワークの波に乗る!(2020年12月20日投稿)

■基本情報(2024年4月26日時点)

  • 株価:237円(10年来高値:3,785円)
  • 時価総額:61億円
  • 予想PER:20.1倍
  • PBR:9.7倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:5.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:21,370人(2023年12月31日時点)
  • 事業価値:133億円

■ブイキューブの業績は?

 ブイキューブの2023年12月期の売上高は111億円(前年比△9.4%減)、営業利益2.4億円(前年は10.3億円の黒字)と減収減益となった。ブイキューブの売上総利益率は+41.8%(前年は+44.3%)と悪化している。

 ブイキューブの売上総利益は前年の54.2億円→46.4億円と△7.8億円の悪化、販管費は前年の47.5億円→48.0億円と+0.5億円の増加となり、差し引きで営業利益は△8.3億円の悪化となった。販管費は高止まりしているものの、売上高が伸びていないのが悩ましい。

■ブイキューブの事業状況は?

 イベントDXと言われる映像関係のビジネスは、事業規模の大きかった製薬関係が前年割れをしており、ほかの分野でカバーできていない。自社開催のイベントが増えているものの、全体で前年比84%くらいのとどまっている。

 新型コロナウイルス感染がそれほど注目されなくなり、一般的なイベントが開催されるようになり、リモートイベントの需要が小さくなっている背景がある。最近ではリアルでの対面イベントなどに力をいれるケースが多い。

 サードプレイスDXと呼ばれるテレキューブの普及はコロナ禍でピークをつけ、堅調に需要はつづいている。また、EV充電サービスはこれから普及させていく段階だ。

■きびしい財務状況!

 ブイキューブの財務状況はきびしい。2023年12月末の財務諸表をみると、現預金は14億円、無形固定資産が44億円となっている。負債は、有利子負債が84億円となっており、為替換算調整がなければ債務超過になっている。これまでの稼いだ利益の剰余金は△32億円のマイナスになっている。

■株価推移は?

 ブイキューブの時価総額は62億円。株価指標的には割安感はない。借入金を約80億円も抱えており、なおかつ無形資産がいまだに44億円も抱えている。すでにコロナバブル時の株価から10分の1の株価になっているものの、割安感がまったくないので注意が必要だ。

 財務諸表をじっくり見ると、ブイキューブの株式を買う気はなくなるのではないだろうか。利益がほぼ出ていないだけでなく、無形資産の減損リスクが大きい。そもそも、フリーキャッシュフローが赤字というのは致命的だ。

以 上

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