本田技研工業の子会社として、燃料タンク、サンルーフなどを製造している八千代工業。売上高は1,500億円規模であるものの、上場しているのは東証一部ではなく、JASDAQ市場。中国での売上割合が20%を超えており、生産拠点のある湖北省武漢市での新型コロナウイルスの影響を大きく受けた株価になっている。
■基本情報(2020年5月1日時点)
- 株価:427円
- 時価総額:100億円
- 予想PER:51.2倍
- PBR:0.19倍
- 予想配当利回り:4.44%
■2018年度の米国での生産混乱の影響はいつまで?
八千代工業は売上高1,500億円規模で、営業利益100億円前後を稼ぐ優良企業だった。しかしながら、八千代工業の株価は、2018年度の米国での生産の混乱前後より株価は大きく下がり、1,500円を超えていた株価は2019年に1,000円を割り、現在は400円前後まで大きく下落している状況だ。
2018年度は2回、業績下方修正をしており、当初の営業利益94億円予想が13億円に下方修正され、最終的には7億円の実績となった。それと同時に、配当の減配を行い、株価下落が加速したという状況だ。
しかしながら、2020年3月期第三四半期(2020年1月公表)の決算短信をみると、営業利益は54億円(前年同期は4億円)まで急浮上しており、すでに業績予想の営業利益53億円を超過している。そのような中で中国の武漢市で新型コロナウイルスが発生した。
■新型コロナウイルスの影響は?中国市場に影響?
新型コロナウイルの影響がなくても、日産自動車をはじめ、自動車業界はきびしい業績予想がでていた。そこに新型コロナウイルが直撃し、世界中の自動車生産がストップとなる事態が発生。八千代工業は広東省中山市と湖北省武漢市に生産拠点をもっており、2020年1月~3月は思いきり影響を受けている状況だ。
八千代工業の中国での売上割合は20%を超えているため、直近の業績には大きくマイナスの影響がでていることは予想される。株価はここから更に落ち込みを織り込んでいくのだろうか?
■株価は割安?ここから更に落ち込むのか?
新型コロナウイルの影響は引き続き業績に影響はあるものの、時価総額は100億円規模まで落ち込んでおり、株価指標的には割安なところまで落ちてきたのではないか。PBRはたった0.19倍。2018年度に当期利益が赤字で、配当を減配しており、どこかで増配となれば、株価の反転は期待できそうだ。
八千代工業のリスクとしては、ガソリン車、ハイブリッド車から電気自動車へのシフトだ。ガソリン車から電気自動車になると、エンジン、燃料タンク、エンジンオイルなどが不要になる。そのため、燃料タンクを生産している八千代工業にとっては、電気自動車化(EV化)は大きなマイナス要因だ。現在の株価も米国の混乱、新型コロナウイルスの影響だけでなく、このような時代の変化を織り込んだ結果と言えるかもしれない。
いっぽう、八千代工業で期待されるのは、ホンダによる親子上場解消による株式公開買付(TOB)。八千代工業はホンダが50.3%保有する連結子会社。最近は親子上場解消の動きが活発で、東芝による東芝プラントシステム、ニューフレアテクノロジー、西芝電機の親子上場解消や、三菱ケミカルホールディングスによる田辺三菱製薬へのTOBなどが発表・実施されている。
■株価チャートを見ると?
八千代工業の株価推移をみると、2018年から大きく右肩さがりがつづいている。電気自動車化の流れを織り込んでいるのか、八千代工業に新たな資金が入ってこず、反対に資金が抜けていっていることを表すチャート推移になっている。
以 上