エキスパートネットワークサービス(ENS)のビザスク、Coleman(コールマン)買収で事業規模拡大!

 企業と専門家(調査会社、コンサルなど)のマッチングサービスを提供しているビザスク。2021年11月に米国の大手ENS(Expert Network Service)のColeman Research Group(コールマン)を112億円で買収し、事業規模は一気に拡大。いっぽう、株価は最高値から3分の1以下まで下落している。今後のビザスクの業績と株価の行方は?

■基本情報(2022年8月26日時点)

  • 株価:2,270円(10年来高値:7,120円)
  • 時価総額:206億円
  • 予想PER:2,063倍
  • PBR:18.8倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:56.2%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:4,015人(2022年2月28日時点)

■ビザスクの業績は?

 ビザスクの2023年2月期の第一四半期の売上高は19.6億円(前年同期比+248%増)、営業利益45百万円(前年同期は1.2億円の黒字)と増収減益となった。米国のコールマン買収の影響は公表されていないものの、前年の第一四半期の売上高は5.6億円、営業利益1.2億円、今年度は売上高8.5億円(前年同期比+51.8%増)、営業利益2.1億円(前年比+75%増)というのがオーガニック(自然)な成長感だ。

 ビザスクは売上総利益を公表していないため、売上高から固定費相応を除いた利益水準(粗利)が見えない。実質的にすべて販売管理費に費用計上していうような状況だ。

■ビザスクの事業内容は?

 ビザスクの事業内容をはじめに見たときは、クラウドワークス、ランサーズなどのマッチングサイトをイメージした。しかしながら、内容をよく見ると、事業の専門的な調査、レポート作成、コンサルなどとのマッチングサービスであり、クラウドソーシングなどとも異なることが判明。たしかに、企業としては、ニッチな分野などでの専門家や他国の専門家から意見や現状をもらいたいというニーズはあり、そのようなサービスは今までなかった。

人材マッチングサービスのクラウドワークス、成長停滞も営業利益は黒字に!(2021年4月18日投稿)

 ビザスクの事業はENSExpert Network Service)と言い、特定分野の専門家と企業を結びサービスを提供している。取引額に対するビザスクの手数料率(テイクレート)は55%前後と非常に高く、収益力はかなり高い。2023年2月期の第一四半期の取扱高は29.1億円、売上高は19.6億円でテイクレートは+67%と高い。コールマンのテイクレートは70%前後と高い。

■もう少し具体的な事業状況は?

 ビザスクのクライアント口座数(企業数)は1,115口座、1口座あたり取扱高は年間換算で1.4百万円。ビザスクの営業費用(いわゆる販売管理費)のうち、66%は人件費。2022年5月末の従業員数は476名。

 顧客(クライアント)からの要望を受けて、世界中の専門家で最もマッチングする企業をさがすことは大方、人の手でやっていると思われる。その前提で考えると、クラウドITサービスのfreee(フリー)、マネーフォワード、ラクスなどと異なり、爆発的に業績をのばすことは難しいのではないだろうか。

■ビザスクのアドバイザーはどこから?

 ビザスクのアドバイザーの詳細はわからないものの、企業・コンサル会社が事業として担当しているケースと、現役ビジネスパーソンがアドバイザー登録しているケースもある。ビザスクのWebサイトでアドバイザーを募集しており、現職者が70%を占めている。メーカー、小売り、医療ヘルスケアなどの領域などが多い。

■ビザスクの財務状況は?

 ビザスクの2022年5月末時点の現預金は29.5億円、コールマン買収関係の「のれん」等が約120億円計上されている。有利子負債は35.5億円と以外に少ない。

 その理由はコールマン買収時に第三者割当増資ににて、約95億円を調達しているからだ。アフターコロナ後の資金調達環境が非常に良い時期に、約100億円の資金調達ができたことはビザスクにとってラッキーだった。

 ビザスクの経営陣は投資銀行出身とあって、増資したら同時に資本金から資本剰余金に振り替えを実施し、資本金は5億円未満に抑え、会社法上の大会社に該当しないようにして、会社法上の監査や内部統制システムの整備などの義務を回避していると思われる。

■ビザスクの株価推移は?

 ビザスクの時価総額は約200億円。一時は時価総額700億円くらいまで上昇したものの、いまは3分の1以下まで下落。この下落はビザスク個別の問題というよりも、世界的なグロース銘柄からの資金流出が要因だ。

 ビザスクの2023年2月期の業績予想は、取扱高132億円(前年比+131.9%増)、営業収益(売上高)87億円(前年比+135%増)、営業利益2.6億円を計画。ビザスクの「知見のプラットフォーム」という建前で、専門家から半分以上の報酬を手数料としてもらうビジネスモデルであるのは実態。今後、参入企業がでてくるとテイクレートが下がっていく懸念は残る。すでに売上高は100億円近いものの、営業利益率が20%~30%が見えないと時価総額の500~700億円をもう一度こえることは少し難しいように思う。

(画像1)ココナラの株価推移、高値からすでに3分の1以下まで下落

以 上

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