飲食店紹介サイトの「Retty」、コロナ後の業績の行方は?

 飲食店紹介サイト「Retty」を運営しているRetty(レッティ、レティ)。2020年10月のコロナ感染拡大後に上場し、株価は上場してから右肩さがり。業績はかなり厳しく、2022年に、じげん及び創業者の平尾丈氏から第三者割当増資を受けている。現状はZホールディングスと平尾丈氏が出資する会社というイメージ。コロナ後の業績と株価の行方は?

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■基本情報(2023年10月6日時点)

  • 株価:196円(10年来高値:2,870円)
  • 時価総額:29億円
  • 予想PER:赤字
  • PBR:6.51倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:33.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:4,398人(2022年9月30日時点)

■Rettyの業績は?

 Rettyの2023年9月期の第三四半期の売上高は11.8億円(前年比△7.8%減)、営業利益△4.7億円(前年同期は△5.3億円)と減収赤字幅縮小となった。Rettyの売上総利益率は+58.2%(前年同期は+59.1%)と若干、利益率は悪化。

 Rettyの売上総利益は前年の6.9億円→6.9億円とほぼ変動なし、販管費は前年の12.2億円→11.6億円と△0.6億円の減少となり、営業利益は前年の△5.3億円→△4.7億円と+0.6億円の改善となった。売上高は解約率の高い特定代理店との契約終了にともなうことが影響している。

 上場している飲食店や飲食店周辺の食品卸売企業の業績は大きく改善しているものの、競合他社のぐるなび含め、Rettyなどの飲食・レストランへの送客サイトの業績は回復していない。飲食店のコロナ禍での累積赤字による借入増により、経費削減のマインドがつづいていることが理由だ。

■Rettyの事業状況は?

 Rettyの有料会員数(飲食店)は7,050件(固定:5,676件、従量:1,374件)。2020年頃は固定契約のみで1万件を超えており、事業規模がかなり小さくなっていることがわかる。

 Rettyの2019年9月期の業績は、売上高22.7億円、経常利益1.0億円。その後、コロナ禍の影響で売上規模は段階的に減少している。2023年9月期の売上高も前年割れの見通しだ。いっぽうで、従業員数はこのような状況下でも増加している。2019年9月期は平均119人だったものの、2022年9月期は147人となっている。

 なお、2020年10月に上場してから、最高値の株価からすでに10分の1以下まで株価は下落している。Rettyの事業戦略が悪いというより、市場環境が悪いという一言だ。飲食店のバランスシートが回復しないと、送客サイトになかなか戻ってこないのではないだろうか。

■Rettyの財務状況は?

 Rettyの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は8.5億円。負債は、有利子負債が約7.0億円となっている。自己資本は4.5億円となっており、2024年9月期も現在と同規模の赤字を出すならば債務超過の可能性も出てくる。その時には新たな増資の検討も必要だ。

 なお、Rettyの社員数は147人、平均年齢30.6歳、平均年収は624万円。ぐるなび、よりも待遇はよい。人件費は年間で9.2億円が必要になる。現在のRettyの売上高は約16億円であり、人件費の規模が大きい。言い換えると、事業規模に人員数がマッチしていない。

■Rettyの株価推移は?

 Rettyの時価総額は約30億円。現在の株価は1株あたり約200円。上場時の公募増資は1,180円(初値:1,611円)だったため、当時の応募者は株価が5分の1以下になっている。現在の株主構成で、Zホールディングスは約15%くらいを保有。じげん(平尾丈氏含む)が約20%くらい保有、じげんは1株あたり236円で第三者割当増資に対応しており含み損の状態だ。

 ただ、どこかのタイミングで業績は回復するだろう。1年後か3年後か誰にもわからない。飲食店がなくなることはないし、送客の手段としては重要だ。

(画像1)Rettyの株価推移

以 上

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