オンライン本人確認(iTrust)のサイバートラスト、マイナンバー普及でビジネスチャンス増!

 本人確認のiTrustやサーバーや組み込みソフトウェアで使用されるLinuxOSサポートなどをしているサーバートラスト。SBテクノロジーが58.1%保有する子会社。従業員数は262名、平均年齢41.1歳、平均年収704万円と高い水準になっている。マイナンバーカードの普及により、ネット上の本人確認がビジネス含めて広がることは間違いなく、サイバートラストにとっては追い風がつづくだろう。

■基本情報(2023年4月28日時点)

  • 株価:2,407円(10年来高値:5,610円)
  • 時価総額:194億円
  • 予想PER:20.4倍
  • PBR:3.4倍
  • 予想配当利回り:0.7%
  • 自己資本比率:71.5%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,055人(2022年9月末時点)

■サイバートラストの業績は?

 サイバートラストの2023年3月期の売上高は61.7億円(前年比+7.6%増)、営業利益10.5億円(前年比+21.3%増)の増収増益。サイバートラストの売上総利益率は+46.8%(前年は+44.7%)、営業利益率は+17.1%(前年は+15.2%)と高い水準を維持している。

 サイバートラストの売上総利益は前年25.6億円→28.9億円と+3.3億円の増加。販管費は16.9億円→18.3億円と+1.4億円の増加となり、差し引きで1.9億円の増益となった。売上総利益率が+40%を超えており、事業モデル的にそれほど販管費がかからないため、営業利益率としては+20%を狙える利益構造となっている。

■サイバートラストの事業内容は?

 サイバートラストの売上高内訳をみると、認証・セキュリティサービスが全体の57.5%、Linuxサービスが23.5%、IoTサービスが19.1%の比率になっている。認証・セキュリティサービスは、iTrustという本人確認の需要が増えており、マイナンバーカード普及により、銀行・証券口座開設、保険契約、不動産売買、中古買取、携帯電話契約、確定申告、行政手続など広範囲な面で需要が増えている。

 これからもデジタル面でのサービスは普及することが想像でき、サイバートラストのiTrustの需要が高まることは間違いないだろう。iTrustはパートナー企業が本人確認で使用したい場合にアプリケーションに組込むことができ、サイバートラストは従量課金で料金を徴収することができるビジネスモデル。

■Linuxサポートとは?IoTサポートとは?

 サイバートラストの2つ目の柱は、Linuxサポートだ。パソコンの一般ユーザーには馴染みが薄いLinuxOS。サーバーや組込みソフトウェアなどではLinuxの需要は高い。Windowsにくらべてウイルスやハッキングに強く、無償であることも特徴だ。

 このLinuxサポートと連動して、IoTサポートとして組み込みソフトなどの支援をしている。IoT機器向けのLinuxOSの提供から認証・セキュリティ確保までサポートできるのがサイバートラストの強みだ。

■サイバートラストの強みは?

 サイバートラストの強みは、リカーリング(循環取引)の比率が64.9%(前年は62.8%)と高い点だ。認証・セキュリティサービス、Linuxサポートでもリカーリング比率が高い。リカーリング比率が高いと、営業にそれほど力を入れなくても売上高を毎年確保できることが強み。

■2024年3月期の業績予想は?財務状況は?

 サイバートラストの2024年3月期の業績予想は、売上高75億円、営業利益14億円、営業利益率+18.7%(前年は+17.1%)と大幅な成長を予定している。

 サイバートラストの2023年3月末の財務諸表をみると、現預金は43.7億円、ソフトウェア関係14億円、いっぽう、有利子負債はゼロとなっている。これまでの利益剰余金は27.7億円としっかり積み上がっている。

 サイバートラストは2021年4月に東証マザーズに上場し、上場時に約5億円の資金調達にとどまっている。そもそも、それほど資金需要が必要ではない企業だ。なお、上場時の公開時の時価総額は65億円、初値は269億円となっている。

 サイバートラストのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+12.1億円、投資CFは△4.3億円と無形資産の支出が多い。財務CFは+6.3百万円と微増にとどまり、現預金は+7.9億円の増加となっている。着実にキャッシュが積み上がる構造だ。

■サイバートラストの株価推移は?

 サイバートラストの時価総額は約200億円。2ケタ成長を続けている企業であり、予想PER20倍くらいのため、割安感がある。世の中、ネット上の本人認証が必要になるケースが増えるのは間違いなく、サイバートラストの需要が増えていくことが予見される。どこでサイバートラストに投資するかがポイントになりそうだ。

(画像1)サイバートラストの株価推移

以 上

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