人事情報・社員の見える化サービスのタレントパレット(Talent Palette)、マーケティングの見える化エンジン、CRM(カスタマーリレーションシップ)のカスタマーリングスなどビッグデータ関連のSaaS事業(サブスクリプション型ビジネス)を行っているプラスアルファ・コンサルティング(以下、PAコンサル)。2024年11月8日に決算発表し、株価は20%ほど下落。決算発表後に株価急落が続いている。今後の業績と株価の行方は?
「タレントパレット」プラスアルファコンサルティング、株価は大幅下落!(2024年8月15日投稿)
「タレントパレット」のプラスアルファ・コンサル(PAコンサル)、成長つづく!(2024年6月1日投稿)
■基本情報(2024年11月15日時点)
- 株価:1,643円(10年来高値:4,480円)
- 時価総額:698億円
- 予想PER:17.8倍
- PBR:5.77倍
- 予想配当利回り:1.09%
- 自己資本比率:79.1%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:7,860人(2023年9月30日時点)
- 事業価値:596億円
■PAコンサルの業績は?
PAコンサルの2024年9月期の売上高は139億円(前年比+24.6%増)、営業利益45.4億円(前年比+22.4%増)の増収増益。PAコンサルの売上総利益率は+72.9%(前年は+73.5%)、営業利益率は+47.4%(前年は+48.3%)と若干悪化している。
PAコンサルの売上総利益は前年の82.1億円→101.5億円と+19.4億円の増加、販管費は前年の45.0億円→56.1億円と+11.1億円の増加となり、差し引きで営業利益は+8.3億円の改善となった。
■PAコンサルの事業状況は?
PAコンサルの事業は表面的には、高成長、高収益に見えるものの、2024年9月の業績予想は未達。言い訳としては、計画外の新規事業やM&A関連費用が発生したとあるものの、計画外のことはなぜコントロールできなかったと気になるところ。
決算説明資料の中身を見ていくと、HRソリューション(タレントパレット)の顧客数は計画の1,820社に対して1,798社と98.8%の実績。顧客数の伸びが大きな課題。稼ぎ頭のタレントパレットは社員数1,000名以上の大企業向けの導入が多いものの、市場規模が限られ、成長鈍化するのではと思われている。
■トピックス
PAコンサルのタレントパレットは、アルムナイ(退職者)との関係構築の機能も提供している。今後は導入企業数だけでなく、いかに単価(ARPU、Average Revenue Per User)を上げるかが課題のひとつ。現在は顧客あたり38.7万円(前年は38.0万円)となっている。
また、M&Aで「キミスカ」グローアップ社を9.6億円で2022年8月に買収。「キミスカ」はもともと赤字だったものの、売上高がそれほど伸びておらず、直近は売上規模は年間10億円ほど(買収時は6.3億円)。最近では、2024年6月にディー・フォー・ディー・アール社(D4DR社)の80%の株式を約1.5億円で取得(売上高1.5億円)2024年7月にOM社の100%株式を取得している(売上高7.9億円)。これらの連結により売上規模は成長しているように見えるものの、シナジーがないと利益はそれほど上がらないだろう。
2024年9月期の決算でも、グローアップ社を除く子会社として新たに約2.8億円の売上高が計上されている。成長している感を出すには、タレントパレットのオーガニック成長だけでは難しいと経営陣が判断しているのではないだろうか。
■2025年9月期の業績予想は?
PAコンサルの2025年9月期の業績予想は、売上高177億円(前年比+27.4%増)、営業利益56億円(前年比+23.3%増)、営業利益率31.6%(前期は+47.4%)と目指す。正直、営業利益率が15ポイント以上も下がることに市場は嫌気をさしている。この営業利益は保守的に出しているのか不明であり、第一四半期の決算から大きな不安要素ではある。
■PAコンサルの株価推移は?
PAコンサルの時価総額は約700億円。成長性、収益性、収益モデルから考えると、同じようなビジネスモデルのラクス(時価総額:約3,900億円)、Sansan(時価総額:約2,500億円)、フリー(時価総額:約1,600億円)よりも割安感がある。ただ、グロース銘柄の勢いがここ最近なく、グロースに再度、注目が集まるとPAコンサルの株価が大きく伸びる可能性も十分ありえる。
PAコンサルの2025年9月期の業績予想は、1株あたり純利益(EPS)は92円。成長性を加味して、予想PERを20~30倍で計算すると、予想株価は1,800円~2,700円となる(現在の株価は1,640円)。成長性と利益率が変わってくると前提は大きく変わるだろう。
以 上