デジタルトランスフォーメーションの支援や顧客サービスのUI/UXなどのユーザビリティ改善支援などを行っているプロジェクトホールディングス（旧：プロジェクトカンパニー）。従業員数は239名と前年の167人から大きく増加。いっぽう、前四半期の240人から微減。2023年9月末の前代表取締役副社長の従業員へのハラスメントやCEOに対する暴力行為があり、2023年12月末までに15名の離職が発生。社内が大きく混乱しているなか、きびしい業績予想を開示し、株価は大きく下落している。
デジタル支援のプロジェクトカンパニー、業績下方修正で成長性は鈍化か？（2023年8月20日投稿）
UI/UX調査のプロジェクトカンパニー、DX領域で急成長つづく！（2023年5月4日投稿）
■基本情報（2024年2月16日時点）
- 株価：1,370円（10年来高値：7,790円）
- 時価総額：80億円
- 予想PER：37.0倍
- PBR：2.8倍
- 予想配当利回り：0%
- 自己資本比率：46.9%
- 会計基準：日本基準
- 株主数：1,154人（2022年12月31日時点）
■プロジェクトHDの業績は？
プロジェクトHDの2023年12月期の売上高は62.8億円（前年比+44.4%増）、営業利益8.6億円（前年比△10.5%減）の増収減益。プロジェクトHDの売上総利益率は+38.4%（前年は+42.3%）、営業利益率は+13.6%（前年は+22.0%）と利益率は悪化している。なお、中期業績目標（FY2024）は未達である。
プロジェクトHDの前年の売上総利益18.4億円→24.1億円と+5.7億円の増加、販管費は前年の8.8億円→15.6億円と+6.8億円の増加となり、営業利益は差し引きで1.1億円の悪化となった。販管費増の理由は、人件費・採用費増+2.8億円（新卒採用など）、地代家賃の増加+2.0億円などが主な要因。M&Aをして企業規模が大きくなったものの、販管費の増加が大きく、利益率が大きく下がっている状況だ。
■プロジェクトHDの事業状況は？
プロジェクトHDの売上高推移を四半期別にみると、なだからに売上高が減少している。以前はストック型の売上モデルと決算説明資料に記載があったものの、ストック型のような動きではない。
デジタルトランスフォーメーション事業の１社あたりの売上高は34.5百万円（前年は30.2百万円）と大型受注が増えているものの、売上高は未達。その理由はクライアント数が目標134社に対して、145社と未達になったからだ。従業員１人あたりの売上高も月2.63百万円（前年は3.45百万円）と大きく下落している。
■オフィス移転にともなうコスト増！
プロジェクトHDは2024年1月より、泉ガーデンタワーから麻布台ヒルズ森JPタワーに本店を移転している。その結果、年間でオフィス賃料が約２億円の増加となり、2024年12月期の大きな業績悪化要因になっている。
事業がうまくいっていない中で、より良いオフィス移転と誤った判断をしてしまった可能性がある。たしかに、コンサルティング企業の場合は魅力的なオフィス環境は従業員の採用や意識にプラスになるものの、企業の現状とマッチしていない可能性がある。
■プロジェクトHDの中期目標は見直し
当初の中期経営計画は2024年12月期に売上高75億円、営業利益14億円を目指していたものの、未達の予想だ。今回の業績予想では2024年12月期は売上高61億円、営業利益2.5億円の見通し。正直、事業内容やビジネスモデルが大きく変容しており、株価は大きく調整されると思われる。すでに高値から５分の１くらいまで下落。おそらく、時価総額は40億円前後くらいまで下落するのではないだろうか。
■プロジェクトHDの財務状況は？
プロジェクトHDの2023年12月期の財務諸表をみると、現預金は27.7億円、のれん10.5億円、敷金8.1億円となっている。負債は、有利子負債が約22億円となっている。純資産は26.5億円あり財務的には健全である。
プロジェクトHDは2021年9月29日に東証マザーズに上場。公開価格は2,650円(時価総額：143億円）、初値は3,500円（時価総額：188億円）、現在の株価1,370円（時価総額：80億円）を考えると、高い期待を受けて上場したことがわかる。
■プロジェクトHDの株価推移は？
プロジェクトHDの時価総額は約80億円。業績が大きく悪化しており、M&Aで買収した企業もうまくいっているとは言えない。キャッシュフロー計算書をみると、なんとか営業CFは+4.5億円のプラス。
現在は上場来最安値を更新しており、どこまで株価が下がるかは見えない状況だ。また、高い離職率より社内が大きく混乱していると思われる。当面は様子見が無難だろう。
以 上