パーソナルジムを展開しているトゥエンティフォーセブン(以下、24/7ワークアウトとする)。決算資料をよむと「新型コロナウィルス感染症の影響・円安の急激な進行及び物価上昇の影響もあり、営業赤字となった」とコロナ影響を苦戦の理由に挙げている。また、パーソナルジムと円安・物価高は直接的な影響はないように思うものの、苦戦の理由の1つにしている。今後の24/7ワークアウトの行方は?
パーソナルジムのトゥエンティフォーセブン(24/7)、コロナ禍で苦戦は本当か?(2022年2月6日投稿)
業績厳しいトゥエンティフォーセブン(24/7)、新規顧客獲得に苦戦か(2022年7月18日投稿)
■基本情報(2022年10月28日時点)
- 株価:390円(10年来高値:6,090円)
- 時価総額:18億円
- 予想PER:35.5倍
- PBR:1.14倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:53.4%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,383人(2021年11月30日時点)
■24/7ワークアウトの業績は?
24/7ワークアウトの2022年11月期の第三四半期の売上高は32.8億円(前年同期比△22.4%減)、営業損失は△4.0億円(前年同期は+57百万円の黒字)と減収赤字転落となった。24/7ワークアウトの売上総利益率は+45%前後で推移しているものの、昨年にくらべて悪化傾向が続く。
24/7ワークアウトの売上総利益は15.1億円に対して、販管費が19.1億円のため赤字となっている。販管費の内訳が公表されていないものの、過去の有価証券報告書の開示をみると、広告宣伝費の割合がかなり高い。過去のデータながら、売上高の40%くらいを広告宣伝費に投入していた。広告宣伝費について、2020年度は21.8億円、2021年度は11.8億円と大幅に削減している。現状も同等レベルと推測する。
問題は広告宣伝費を投入しても売上高が前年比△22.4%も下落していること。コロナや物価高が要因ではなく、ビジネスモデル的に利益がでる状態ではないと言えるだろう。
■24/7ワークアウトの課題は?価格設定か?
24/7ワークアウトはパーソナルジムを展開している。年間広告費を10億円以上も投入しているものの、売上高が減少していることが大きな課題だ。競合他社としては、総合スポーツクラブ(セントラル、ティップネス、コナミスポーツ、東急オアシスなど)と24時間トレーニングジム(エニタイムフィットネスなど)、本格トレーニングジム(ゴールドジムなど)、個人パーソナルジムがある。
堅調な成長の「エニタイムフィットネス」、高い成長性と収益力!(2022年2月20日投稿)
総合スポーツクラブは会員の平均年齢が60代を超えているケースもあり、24/7ワークアウトの競合にはなりえない。もっとも競合になるのは個人パーソナルジムだ。YouTubeなどで宣伝しているケースも多く、YouTuberとして活躍されている個人経営のパーソナルジムトレーナーも多い。
24/7ワークアウトの1カ月コース(8回)で約15万円、2カ月コース(16回)で約26万円の価格帯。以前は1カ月コースで約10.8万円だったため、かなり値上げしていることがわかり、顧客離れの理由は価格設定にある。
■24/7ワークアウトの財務状況は?
24/7ワークアウトの2022年8月31日時点の財務諸表をみると、現預金は13.1億円あるものの、会員からの前受金が5.8億円あるため、実質的には7億円くらいのキャッシュを持っている計算になる。そもそも、2019年11月に東証マザーズに上場したときに約19億円の公募増資などを実施しており、いまはどんどんお金が減っている状況だ。なお、当時は19億円以外に20億円の売出しもしており、上場前の株主は高値で売り抜けたと言えるかもしれない。
上場時の初値ベースの時価総額は171億円で、現在の時価総額18億円を考えると、株価は10分の1くらいまで下落している。
■24/7ワークアウトの株価推移は?
24/7ワークアウトの時価総額は約18億円。株価チャートをみてわかるが、現状はほとんどの株主が含み損を抱えている状況だ。広告宣伝費を売っても売上高が上昇せず、売上総利益率が悪化傾向にあり、悩ましい状況だ。
新型コロナウイルスの影響はあるかもしれないが、他の業種もコロナと向き合ってビジネスをしている段階であり、しかも、コロナの抵抗感が薄まっている現段階で業績回復の見通しが見えないのは大きな課題。ただし、時価総額はすでに20億円を割れており、業績にかかわらず、株価が上昇したり、下落したりが起こる可能性は高い。下値は限定的だ。
以 上