成長鈍化のウォンテッドリー、高収益であるも成長性に疑問符が!?

 「気軽に会社訪問」をできるような仕組み「Wantedly VISIT」を提供しているウォンテッドリー(Wantedly)。営業利益率は+30%を超えているものの、売上高が四半期比で下落傾向になった。ウォンテッドリーのサービスの広まりが止まっており、サブスクリプション型のビジネスの場合は、市場からの淘汰になる可能性があり予断を許さない状況だ。

Wantedly(ウォンテッドリー)、営業利益率30%超えの高収益企業の行方は?(2023年9月9日投稿)

前四半期比で減収のウォンテッドリー、成長鈍化が株価に反映か?(2023年8月11日投稿)

「Wantedly VISIT」のウォンテッドリー、採用と従業員定着に貢献するビジネス!(2023年2月26日投稿)

■基本情報(2024年4月19日時点)

  • 株価:1,165円(10年来高値:5,770円)
  • 時価総額:111億円
  • 予想PER:11.0倍
  • PBR:3.24倍
  • 予想配当利回り:1.71%
  • 自己資本比率:74.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:3,040人(2023年8月31日時点)
  • 事業価値:71億円

■ウォンテッドリーの業績は?

 ウォンテッドリーの2024年8月期の第二四半期の売上高は23.3億円(前年比△2.8%減)、営業利益7.5億円(前年比△6.1%減)の減収減益。ウォンテッドリーは売上総利益を開示していないため、粗利率がわからない。

 ウォンテッドリーの営業利益率は、2023年8月期の2Qは+37%だったものの、2024年8月期の1Qは+34%、2Qは30%と悪化している。基本プランの値上げによりストック収益は増加しているものの、フロー収益(オプションなど)は減少している。うまく新規獲得ができていないと思われる。

■販管費の高止まり!

 いっぽうで、人員は増加しており、前四半期の112名→122名と+10名の増加。それほど人員増の絶対値は大きくないものの、会社の約10%の人員増はインパクトが大きい。いかに新規顧客を取り込めるかが大きな課題だ。その結果、売上規模は減少傾向であるものの、販管費は高止まりしており、営業利益率が悪化している。

 広告宣伝費をみると、前四半期は2.4億円を投入していたものの、今期は1.9億円と大きく減少している。販管費の抑制をしているものの、前年並みに広告宣伝費を投入していたら、より営業利益は悪化していたことになる。広告宣伝費を除く営業利益率の推移を開示しており、以前は+50%を超えていたものの、現在は40%台半ばまで下がっている。

■中身が見えない売上高!

 ウォンテッドリーは、Visit、Perk、Pulse、Storyなどのサービスがあるものの、それぞれの売上高が開示されていない。よって、どのサービスがどのくらいの内訳になっているか見ることが全くできない。おそらく、Visitでほとんど稼いでいると推測するものの、どのくらいのユーザ数が稼働しているのか開示情報からでは見えない。

 クックパッドのように、ネットサービスは陳腐化すると一気に代替製品にとって代わられる可能性があるため、ウォンテッドリーの現在の成長鈍化は、投資家としては予断を許さない状況と考えるべきだろう。

■ウォンテッドリーの株価推移は?

 ウォンテッドリーの時価総額は約110億円。株価指標的には割安感あるものの、成長鈍化が明らかなので悩ましい。もしかすると、新しいサービスなどで持ち直す可能性があり、そのときは株価は一気に跳ね上がるだろう。いっぽう、このまま鈍化をつづけると、時価総額50億円くらいも見えてくるかもしれない。加速度的に営業利益が減ってきて、人員削減などに手をつけなくてはいけなくなる可能性があるからだ。

 コロナショックで上場来最安値をつけた2020年3月13日の株価を下回ると、時価総額は50億円が見えてくる可能性があるので注意が必要だ。

 以 上

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