Reebokをアディダスから事業譲受した靴のECプラットフォームのロコンド(Locondo)。社名をロコンドからジェイドグループに変更し、より多角的にビジネスを展開していくと思われる。2024年2月期は売上高140億円(前年比+33.8%増)、営業利益17.5億円(前年比+76.5%増)と大幅な成長を目指す。
Reebok取り込んだEC企業のロコンド、黒字定着も成長の行方は?(2023年1月22日投稿)
靴の通販サイト運営のロコンド、業績は堅調!株価も堅調!(2022年7月23日投稿)
■基本情報(2023年5月1日時点)
- 株価:1,640円(10年来高値:4,180円)
- 時価総額:188億円
- 予想PER:13.0倍
- PBR:3.11倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:58.9%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:6,482人(2022年2月28日時点)
■ロコンドの業績は?
ロコンドの2023年2月期の商品取扱高は236億円(前年比+11.4%増)、売上高104億円(前年比+6.0%増)、営業利益9.9億円(前年比+12.2%増)の増収増益。ロコンドの売上総利益率(対取扱高比)は+35.4%(前年は+37.1%)、営業利益+4.2%(前年は+4.2%)。
ロコンドは売上総利益率よりも限界利益率で表示したほうがわかりやすく、2023年2月期の限界利益率は+17.1%(前年は+15.6%)となっている。限界利益は前年33.1億円→40.4億円と+7.3億円の増加。固定費は24.3億円→30.5億円と+6.2億円の増加となり、差し引きで+1.1億円の増益となった。
■販管費の内訳は?
ロコンドの販管費(固定費)の内訳をみると、人件費が14.4億円→15.8億円と+1.4億円の増加、広告関連費が13.6億円→8.5億円と△5.1億円の減少、地代家賃が9.3億円→14.2億円と+4.9億円の増加となり、合計で約4億円の増加となった。
ロコンドは倉庫を拡充しており、地代家賃の負担が大きく増えている一方、広告宣伝費を削減することで、ほぼ前年並みの利益を出すことができた。前年はReebok事業の譲受があり、その割にはトップラインである売上高が伸びていないことが気になる。Reebokの損益を開示していないので、業績への貢献がよく見えない。
■気になるのは?
ロコンドで気になるのはEC事業のアクティブユーザー数が下落傾向である点だ。アクティブユーザー数は2021年1Qは115万人、2021年4Qは116万人、2022年2Qは116万人、2022年4Qは110万人と下落している。正直、アマゾンと比べると価格面で負けていることが多く、ロコンドであえて購入する理由が見つからない。
2024年2月期は売上高も営業利益も大幅増を計画しているものの、直近の2022年4Qの営業利益は1億円のプラスにとどまっていることを忘れてはならない。ただ、高い業績予想と自社株買い5億円を公表したことで、2回連続のストップ高と株価は上がり、現状は大きく盛り上がっている状況だ。
■ロコンドの財務状況は?
ロコンドの2023年2月末の財務状況をみると、現預金は37億円、商品22億円となっている。いっぽう、有利子負債は6.5億円、受託販売預り金9.3億円となっており、前払いで顧客からお金を受け取るキャッシュフローであり、財務的にはきわめて健全だ。これまでの利益の蓄積である利益剰余金は27.5億円となっている。
ロコンドのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは13.6億円のプラス、投資CFはReebok事業の譲受による支出11.7億円があり、△15.5億円のマイナスとなっている。フリーキャッシュフローは営業CFと投資CFの差引で△1.9億円のマイナスとなっており、そこから財務CF5.3億円のプラスを考慮すると、現預金は3.4億円の増加となっている。
表面上の営業CFは大きくプラスになっているものの、実態はフリーキャッシュフローで考えるべきであり、このフリーキャッシュフローがプラスになるかを見極めることが重要だ。
■ロコンドの株価推移は?
ロコンドの時価総額は約190億円。今期の業績予想である売上高140億円、営業利益17.5億円を達成できる実力があると考えると割安だ。ただ、歴史のあるReebokの人気をもう一度よみがえらせるのは、かなりの投資が必要になるのではないだろうか。また、ECモールを運営しているロコンド自体が特定のブランドを持つことで、そのブランドの販売に専念してしまうリスク(他社ブランドの売り惜しみ、Reebokの宣伝過多など)も起こりうるのでないか。
以 上