シェアリングスペースのスペースマーケット!15分単位で貸し借りできるスペース事業

 シェアリングエコノミーでスペースシェア(住宅、飲食店、スタジオ、結婚式場、ホテル、オフィス、映画館など)を提供しているスペースマーケット。2019年12月20日に東証マザーズに上場したものの、新型コロナウイルスの感染拡大・非常事態宣言などの外出自粛要請の影響により上場後の業績は伸び悩んでいる。スペースマーケットにとって、事業環境の先行きが見えにくいものの、新型コロナウイルスが収まり、社会活動が緩和されたとき事業規模の拡大が見込まれるビジネスモデルを展開している。今後の事業と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年1月22日時点)

  • 株価:808円(10年来高値:1,990円)
  • 時価総額:95億円
  • 予想PER:未定
  • PBR:11.25倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:70.1%
  • 会計基準:日本基準

■スペースマーケットの業績は?

 スペースマーケットの2020年12月期の第三四半期の売上高は5.2億円(前年同期比△5.9%減)、営業利益△0.3億円(前年同期は+6百万円の黒字)と減収と営業赤字転落となった。全社総取扱高も前年同期比で△12.0%の減少となり、スペースマーケットにとって厳しい結果となった。スペースマーケットの売上総利益率は+69.1%(全社総取扱高ベースでは+23.8%)と高い。貸会議室大手のTKP(ティーケーピー)の決算を見ても、レンタル会議室など苦戦しており、スペースマーケットだけが苦戦しているのではないが、事業規模の小ささ(売上高が5億円)が気になる。

■スペースマーケットの事業モデルは?

 スペースマーケットのビジネスモデルは、会議室、宿泊施設など空きスペースを貸したい人と借りたい人をマッチングさせるサイト「スペースマーケット」を運営している。スペースマーケットが受け取る手数料は、1日レンタル・時間レンタルの場合は成約金額の30%、宿泊レンタルの場合は10%を徴収する。「スペースマーケット」への掲載自体は無料だ。

 競合他社としては、宿泊施設であればAirbnb(エアビーアンドビー)、ホテル予約サイト(楽天トラベル、じゃらん、JTBなど)、会議室であればTKP(ティーケーピー)などが該当する。スペースマーケットはさまざまな空きスペースを取り扱っているものの、代替となるサイトがあるのが大きな事業の課題だ。

■シェアリングエコノミーとして成長性は?

 数年前からシェアリングエコノミーが注目されている。宿泊施設であはAirbnb(エアビー)、カーシェアリング(自動車)であればタイムズ、家事代行マッチングであれば「タスカジ」、衣服であれば「airCloset」、駐車スペースであればアキッパなど。スペースマーケットも将来的な成長の可能性は十分あるものの、年間売上高(計画)は10億円に満たないレベル。スペースマーケットが取り扱っている「空きスペース」は宿泊、飲食、会議、スポーツ、教室など競合他社が多い領域。新たな需要を創るというより、専門の予約サイト(ホテル、会議室など)から需要を奪うビジネスとなり、本当に成長できるか見極める必要がある。

■まだまだ成長が必要!これからの伸びは?

 スペースマーケットの事業は本当に成長をつづけるのだろうか?新型コロナウイルスの影響が大きく影響しているものの、2020年12月期は前年割れの総取扱高になりそうだ。「スペースマーケット」のサイトを見ると、合計で1.4万件のスペースが掲載されている。たとえば、パーティで約7千件、撮影・収録で約9千件、貸し会議室で2.4千件、宿泊施設で1千件。気になるのは利用用途で時間レンタルで2~4時間くらいの利用が中心と思われる。

 売上高50億円を目指した場合、成約金額に対する手数料30%で計算すると約165億円ほどの総取扱高が必要だ。1時間の利用料金3,000円で平均3時間の利用として試算すると、183万回の利用が必要だ。現在はその前提であれば26万回(総取扱高23.4億円)の利用回数となり、いまから約7倍の成長が必要な計算となる。けっこうハードルは高いのではないか。

 ちなみに、売上高50億円を実現したときには営業利益15億円~20億円(純利益12~16億円)くらい出る計算だ。予想PER50倍~60倍で計算すると、時価総額は560億円~960億円になる可能性はあるが、ハードルは高い。

■スペースマーケットの株価の行方は?

 スペースマーケットの時価総額は約100億円。上場してから株価は下落トレンドとなり、コロナショックで一時、株価411円をつけた(時価総額は約50億円)。なんとなくシェアリングエコノミーというとハイテクなイメージがあるものの、いわゆるマッチングサイトだ。スペースマーケットは自社で空きスペースを持たないITサービス企業。

 いま新型コロナウイルスの影響により対面での活動が制限されており、スペースマーケットにとっては向かい風だ。まずは決算資料でのKPIの改善を見守り、事業の動向をウォッチしたい。

(画像5)スペースマーケットの株価推移

以 上

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