スマホ向けフリマアプリ国内首位のメルカリ(4385)、今後の株価は?

 スマホ向けの個人間売買を仲介するメルカリ。2018年6月に上場してから一貫して営業赤字を計上。2020年6月期の第3四半期は売上高534億円、営業利益△203億円の巨額の赤字を計上。しかしながら、メルカリの時価総額は4,380億円と将来の高成長、高収益を株価が織り込んだ状況だ。個人投資家としてはメルカリの株価の行方をどのように見るべきか?

■基本情報(2020年5月15日時点)

  • 株価:2,810円
  • 時価総額:4,378億円
  • 予想PER:-(赤字予想)
  • PBR:13.6倍
  • 予想配当利回り:0%

■開示資料でわからないメルカリの実態!

 メルカリはメルカリ(日本)、メルカリ(米国)、メルペイの3つの事業を柱にしている。メルカリは東証マザーズに上場しているため3か月毎に決算情報は開示されているものの、現在の実情がわからない。メルカリ全体では売上高は前年同期比+40%のペースで成長しているものの、営業利益は巨額の赤字。

 個人投資家としてはメルカリの事業別の業績を見たいものの、決算短信を見ると「当社グループは、マーケットプレイス関連事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。」と記載されている。

 決算説明資料には、メルカリ(日本)は売上高418億円、営業利益114億円のプラスと開示されているものの、メルカリ(米国)とメルペイの内訳は公表されていない。全体からの差引で計算すると、メルカリ(米国)とメルペイで売上高116億円、営業利益は△317億円。これでは実態がよくわからない。

■メルカリの時価総額は妥当か?

 メルカリの時価総額は4,000億円を超える。上場以来、赤字を継続するメルカリの時価総額は妥当なのか?売上高の成長率やPBRから考えると、過大に評価されている。QRコード決済はメルペイとPayPay(ペイペイ)、LINEペイ、楽天ペイ、auペイなどが激しく競合する厳しい状況。資金力に余裕がないメルペイがこの厳しい競争環境で利益をしっかり稼げるようになるか見えない。

 メルペイのユーザ数(本人確認済)は500万人を超えたものの、いつ頃までに収益化できるか見通しは示されていない。なお、PayPayは2,500万人超(2020年2月時点)。これまでユーザ獲得のために利用販促キャンペーンを繰り返し、メルカリの財務は大きく既存し、自己資本比率は1年間で31.1%→17.0%まで低下。このような財務状況のなかで、巨大なZホールディングス(PayPay、LINEペイ)に勝つのは難しい。

 メルカリ(米国)は、MAU(アクティブユーザ数)が340万人と公表されたものの、利益の公表がされていないため実態と業績見通しはわからない。なお、メルカリ(日本)のMAU(アクティブユーザ数)は、2020年3月時点で1,657万人だ

■メルカリの株価チャートは?

 メルカリの株価は上場時の高値を超えれずに現在にいたる。東証マザーズで最も時価総額が大きいため、東証マザーズの動きを引っ張るメルカリ。将来の期待まで十分に織り込まれた株価のため、下方向にいつ調整が入ってもおかしくない。

 メルカリは、メルペイとメルカリ(米国)の資金流出にいつまで耐えるれるか。手持ち資金も減ってきているため、大きな企業買収は難しくなる。足を引っ張るメルペイまたはメルカリ(米国)どちらかの事業撤退のニュースはいつ出てもおかしくない。

以 上

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