「金融×IT」のフィンテック事業を幅広く展開しているマネーフォワード。従業員数は2021年5月末時点で1,008名。法人向けの経理財務・人事労務などのクラウドサービス「Money Forwardクラウド」や個人向けの家計簿・資産管理サービスの「Money Forward ME」、金融機関向けのフィンテック推進サービスなどを展開しているマネーフォワード。売上高は前年同期比+40%を超える成長で、営業黒字を確保。今後のマネーフォワードの業績と株価の行方はどうなるのか?
「クラウド会計×Fintech」のマネーフォワード、加速する成長速度!(2021年4月17日投稿)
■基本情報(2021年7月16日時点)
- 株価:6,970円(10年来高値:7,430円)
- 時価総額:3,350億円
- 予想PER:ー(赤字予定)
- PBR:32.5倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:42.5%
- 会計基準:日本基準
■マネーフォワードの業績は?
マネーフォワードの2021年11月期の第二四半期の売上高は74.6億円(前年同期比+43.1%増)、営業利益は0.4億円(前年同期は△12.5億円の赤字)と大幅な増収と黒字転換となった。マネーフォワードの売上総利益率は+72.1%(前年同期は+67.1%)と高い水準となっている。マネーフォワードの売上総利益額は四半期ベースで順調に増加しており、広告宣伝費を除いたEBITDA(営業損益+償却費+その他)は+19億円ほどの黒字となっている。
マネーフォワードの魅力はクラウドサービスによるサブスクリプション型の事業モデル。毎期、前期の売上高に加算して売上高が増えていく事業モデルのため、製品・サービスの競争力があるかぎり失注や市況などの変化で売上高がさがる可能性がない点だ。
■マネーフォワードの魅力、さまざまな企業との提携!
マネーフォワードの魅力は、さまざまな企業との新しい提携を進めている点だ。たとえば、三菱UFJ銀行とオンラインファクタリング会社Biz Forward(ビズ・フォワード)という合弁会社を2022年春ごろを目途に設立予定だ。出資比率はマネーフォワード51%、三菱UFJ銀行49%。サンリオとは家計簿アプリで提携開始している。不動産会社のツクルバとは不動産所有者向けの資産管理に関する業務提携を発表。生命保険ではライフネット生命と提携している。
金融機関向けのフィンテックサービスでは、docomo(ドコモ)に融資サービス契約者向けアプリの共同開発や家計簿アプリ「スマ―簿」の開発、千葉銀行とは住宅ローン返済予定表などをweb上で確認できる「ちばぎんマイポスト」の開発、KDDIとはau PAY「お金の管理」の共同開発など、さまざまな企業にサービスを提供している。
■マネーフォワードの株価推移は?
マネーフォワードの時価総額は3,350億円。競合他社のfreee(フリー)の時価総額は約5,300億円、ラクスは5,600億円。マネーフォワードは競合他社のクラウドサービス企業と比べると、割安感がある。いずれの企業も将来の成長性を大きく織り込んだ株価であり、現状の利益水準では説明ができない株価となっている。
クラウド会計のfreee(フリー)、成長速度は変わらず、上場来高値更新!(2021年2月14日投稿)
成長つづくラクス、年平均成長率25%以上の中期経営計画を発表!(2021年5月15日投稿)
マネーフォワードの現在の売上規模は150億円前後、営業利益は広告宣伝費を除くと30~40億円前後。毎年+30%で成長していく前提で考えると、5年後の売上規模は550億円前後になり、営業利益30%で考えると営業利益160億円になる可能性はある。しかしながら、マネーフォワードの事業領域で550億円を稼ぐことが本当にできるのか、誰にも見えていないのが実情ではないか。間違いないのは、米国のインフレが加速して金融緩和の縮小(テーパリング)はじまると、長期金利は大きく上昇すること。その結果、グロース銘柄の高PERが修正される可能性が高い点に注意が必要だ。
以 上