「北の快適工房」運営の北の達人コーポレーション、売上高100億円の壁!?

 ECサイト「北の快適工房」でコスメ・スキンケア商品、健康食品などを販売している北の達人コーポレーション(以下、北の達人)。北海道札幌市に本社を置くマーケット会社で従業員数は200名。2020年2月期までは急成長していた業績も、売上高・営業利益ともに前年割れとなった北の達人。2022年2月期の第一四半期はほぼ計画どおりであるものの、営業利益は前年割れとなっている。北の達人の業績と株価の行方はどうなるのか?

ネット通販で化粧品、健康食品を販売する北の達人コーポレーション、ついに成長停滞か!?(2020年12月6日投稿

■基本情報(2021年7月16日時点)

  • 株価:540円(10年来高値:1,105円)
  • 時価総額:762億円
  • 予想PER:59.4倍
  • PBR:14.25倍
  • 予想配当利回り:0.5%
  • 自己資本比率:80.5%
  • 会計基準:日本基準

■北の達人の業績は?

 北の達人の2022年2月期の第一四半期の売上高は23.7億円(前年同期比+4.6%増)、営業利益は4.0億円(前年同期比△28.5%減)の増収減益となった。北の達人の売上総利益率は+76.2%(前年同期は+75.3%)、営業利益率は+16.9%(前年同期は+24.7%)と広告宣伝費を1.4億円増加させたことにより営業利益率が悪化している。

 北の達人は自社製品をOEMで製造するファブレスメーカーであり、マーケティングに力を入れている会社。同じビジネスモデルとして、プレミアアンチエイジング、新日本製薬、ファーマフーズ、MTGなど高収益企業が該当する。どの会社も売上総利益率が非常に高いものの、広告宣伝費を中心とした販売管理費が非常に大きいのが特徴だ。いかに自社ブランドを確立するか、ヒット商品を生み出すかが大きなポイント。取り扱う製品の原価率は非常に低いものの、高い価格帯で販売することで利益を稼ぐビジネスモデルとなっている。

業績絶好調のプレミアアンチエイジング、中国本土に「sitrana(シトラナ)」展開!(2021年6月19日投稿)

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「SIXPAD」「ReFa」を展開するヘルスケア器具販売のMTG!業績の行方は?(2021年4月25日投稿)

■北の達人の商品は?

 北の達人の商品は自社ECサイトの「北の快適工房」やAmazonなどでオリジナル製品(全32商品)を販売している。美容関連の商品では「チークポアパッチ」(1か月8枚入:3,980円)、「ケアナノパック」(1か月分30g:3,980円)、ヘルスケア商品として「えぞ式すーす―茶」や「カイテキオリゴ」など健康食品を販売している。

 北の達人の最近の広告では、インフォマーシャル広告と呼ばれるBS放送などを活用した、これまでリーチできなかった層への広告を実施している。2021年3月に北海道を放送地域対象とするFMラジオ局の株式会社エフエム・ノースウエーブをグループ会社に取り込み、FMラジオ放送でも広告をスタートしている。顧客からの受注は24時間体制のコールセンターを設置するなど幅広い取り組みをおこなっている。

 北の達人のビジネスモデルのポイントは、OEM活用、通信販売、広告戦略、商品の絞り込み(32商品)、定期購入、が大きなポイント。一度、定期購入すると、なかなか解約しにくい人の心理をついたビジネスモデルとなっている。

■北の達人の今後の戦略は?

 北の達人では積極的なM&Aによる収益基盤の多角化を検討している。また、D2C(自社ブランド製品)の新規事業の立上げを検討している。中長期的には売上高1,000億円、営業利益300億円を目標に置いている。

■北の達人の株価の行方は?

 北の達人の時価総額は約750億円。事業規模や収益性を考えると株価指標的には妥当な水準だ。ただし、売上高がそれほど成長していないことが気になる。北の達人の売上高は約100億円。競合他社のプレミアアンチエイジングは売上高約300億円で時価総額は約1,600億円。育毛剤「ニューモ」が大ヒットしているファーマフーズの売上高は約400億円で時価総額は800億円。

 北の達人の課題としては、いかに売上高を増やしていくか。売上高100億円でたしかに利益は出ているものの、成長が止まってしまっている状況だ。

(画像1)北の達人の株価推移

以 上

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