プロシェアリングのサーキュレーション、プロ人材の仲介でスキルシェア!

 プロシェアリングサービスというプロ人材(フリーランス)を法人企業に紹介することで仲介料を徴収する事業をしているサーキュレーション(CIRCULATION)。2014年1月設立、従業員数は2023年1月末時点で244名。登録プロフェッショナルは2.1万人。アサヒ、キリン、LIXIL、デンソー、カシオ、サイバーエージェントなど大手企業も活用しているサービスだ。サーキュレーションの業績と株価の行方は?

■基本情報(2023年4月28日時点)

  • 株価:685円(10年来高値:5,540円)
  • 時価総額:57億円
  • 予想PER:14.5倍
  • PBR:2.26倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:72.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,363人(2022年7月31日時点)

■サーキュレーションの業績は?

 サーキュレーションの2023年7月期の第二四半期の売上高は39.8億円(前年同期比+18.0%増)、営業利益2.8億円(前年同期比△17.9%減)の増収減益。サーキュレーションの売上総利益率は+40.7%(前年は+41.1%)、営業利益率は+7.0%(前年同期は+10.1%)と営業利益率が低下している。

 サーキュレーションの売上総利益は前年同期の13.9億円→16.2億円と+2.3億円の増加。販管費は10.4億円→13.4億円と+3.0億円の増加となり、差し引きで△0.7億円の営業利益の減となった。販管費の増加要因としては、新規入社者の費用増(人材投資)が要因と思われるものの、詳しい開示はされていない。

■サーキュレーションの事業内容は?

 サーキュレーションはプロシェアリングサービスという名称でサービスを提供している。ほとんど聞きなれない名称であるが、簡単に言うとプロ人材というフリーランスの企業への紹介事業だ。プロ人材を紹介することによって、仲介料を徴収するサービス。

 パソナ、アデコ、リクルートなどの一般派遣と異なり、顧客企業のプロジェクトや課題に有期でサービスを行うのがプロシェアリングサービスだ。サーキュレーションのコンサルタントが顧客企業の要望を聞き、適切な人材を派遣するもの。現時点で2.1万人のプロ人材が登録されている。

■他社のサービスとの違いは?

 サーキュレーションのサービスを聞くと、フリーランスのマッチング事業をしているギークスやBranding Engineerが想定される。ギークス(時価総額:117億円)は「geechs job(ギークスジョブ)」というサイトでIT系フリーランスのマッチングをしている。Branding Engineer(時価総額:218億円)は「Midworks」でIT系フリーランスのマッチングを行っている。

フリーランス人材マッチングのギークス、ゲーム開発やITスクール運営も!(2022年10月10日投稿)

フリーランス案件サイト「Midworks」運営のBranding Engineer(ブランディングエンジニア)、業績の行方は?(2022年10月10日投稿)

 また、フリーランスの紹介であれば、クラウドソーシングのクラウドワークスやランサーズなども同じようなサービスをしており、サーキュレーションの強みがわかりにくい。

クラウドソーシングのクラウドワークス、工数管理SaaS「CrowdLog」は期待か?(2022年9月3日投稿)

 有期のコンサルティングサービスで考えると、サーキュレーションのプロ人材に頼むのではなく、ベイカレント・コンサルティングなどコンサルの専門業者に課題を頼むのも手だろう。

 これらの同じような領域のサービスと比較すると、企業内に入り込んでプロ人材が自社の従業員と一緒に課題解決してくれるのが特徴ではないだろうか。

■サーキュレーションの財務状況は?

 サーキュレーションの2023年1月末の財務状況をみると、現預金は22.8億円、有利子負債はゼロと財務状況は極めて健全だ。2021年7月に東証マザーズに上場し、公募増資と引受証券で約21億円を調達している。同時に株式の売り出しで23.7億円を市場で売却している。言い換えると、現在の現預金はほぼ上場時に調達した資金と言えるだろう。

 サーキュレーションのキャッシュフロー計算書をみると、純利益は2.8億円でているものの、運転資本が増加したことにより、営業CFは27百万円の黒字に留まる。なお、前年は△31百万円の赤字。キャッシュフロー計算書をみるかぎり、キャッシュを本当に稼ぐ力があるか疑問は残る。

■サーキュレーションの株価推移

 サーキュレーションの時価総額は約60億円。上場時の公開価格は1,810円、初値3,205円で時価総額は261億円だったものの、現在は4分の1以下まで下落している。プロシェアリングサービスという名称で新しいイメージはあるものの、同じようなサービスが多くでており、また、IT系以外でプロ人材(業務委託)が世の中でそれほど広がっているイメージはないため、将来性に疑問は残る。

 ただ、四半期決算でキャッシュを上手く創出できるようになれば、時代の変化ととらえて株価の低いうちに仕込むの良いかもしれない。現状はIT系に需要が限られ、ギークスやBranding Engineerのほうが将来性があるように見える。

(画像1)サーキュレーションの株価推移

以 上

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