Coleman社のれん125億円を減損、ビザスクの自己資本比率は1ケタ台に!

 グローバルENS(Expert Network Service、エキスパートネットワークサービス)や国内事業者向けにインタビュー、オンラインサーベイなどサービスを展開しているビザスク(VISASQ)。米国で苦戦していたColeman社のれんを全額減損処理した。米国のColeman社は、のれんの償却費4.5億円を除いても9億円くらいの赤字を計上しており、きびしい状況がつづいている。今後の業績と株価の行方は?

成長鈍化のビザスク、買収したColemanの苦戦つづく!(2024年1月21日投稿)

営業赤字継続のビザスク、買収したColemanが足を引っ張る!(2023年10月14日投稿)

■基本情報(2024年4月19日時点)

  • 株価:811円(10年来高値:7,120円)
  • 時価総額:75億円
  • 予想PER:ー (未定)
  • PBR:31.6倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:3.2%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:6,499人(2023年2月28日時点)
  • 事業価値:64億円

■ビザスクの事業状況は?

 ビザスクの2024年2月期の売上高は89.7億円(前年比+7.0%増)、営業利益は△59百万円(前年は+4百万円)の増収赤字転落となった。ビザスクは売上総利益を開示していない。

 ビザスクは日本と米国でビジネスを行っており、日本の売上高は48.7億円(前年は38.8億円)、米国の売上高は40.9億円(前年は45.0億円)。日本は成長しているものの、米国のColeman社は苦戦している状況だ。主要な取引先はマッキンゼー、ボストンコンサルティングなど外資系戦略コンサルと言われている会社が積極的に活用している。

■Coleman社のれん減損!

 ビザスクは2024年2月期の決算で、Coleman社ののれん、PPA(分別可能な無形資産、技術関連資産、顧客関連資産など)の合計125億円の減損を実施。その結果、自己資本比率は+3.2%と債務超過寸前まで悪化している。

 2025年2月期の決算で赤字を計上すると、債務超過に転落してしまうポジションまで財務状況が悪化した。今回の減損はキャッシュアウトを伴うものではないので、ビザスクの経営に致命的な危機をもたらすものではないものの、銀行からの有利子負債(借入)などを活用しているビザスクにとっては、さらなる資金調達の手段が限られる状況となったと言えるだろう。

■成長鈍化のグローバルエキスパートネットワーク

 ビザスクはENSと呼ばれるプロフェッショナルなどの知見とのマッチングサービスを提供している。この市場は2022年は前年比+12%伸びたものの、2023年は前年比+1.0%の伸びにとどまったと言われる。

■A種類、B種類株式の買取の可能性!?

 ビザスクは市場規模の成長鈍化だけでなく、優先株主といわれるA種類、B種類株主からの資金調達でColemanを買収した。A種類、B種類は普通株式転換または買取の2つの出口(exit)が用意されている。

 決算説明資料を読むと、普通株式への転換の方針に変更はない、と記載されているものの、普通株式への転換は3,724円を超えると株価がハードルになっている。よほどの株価の上昇がない限りは、ビザスクにA種類、B種類の買取を要求するのが現実的ではないだろうか。

■事業別の人員数は?

 ビザスクは国内の人員は増えているものの、Coleman社の人員は前年の254人→207人と△47人の減少となっている。米国でENSの市場がそれほど伸びていないと思われる。いっぽう、国内は成長基調にのっている。ビザスクの従業員数は全体で553名(2024年2月末時点)。今後は600名を目指す。

■ビザスクの株価推移は?

 ビザスクの時価総額は約75億円。2021年9月の高値から10分の1くらいまで株価は下落している。結果がでていない。Colemanの買収で失敗したと言えるだろう。心配は今後のA種類、B種類株式の行方だ。

 可能性としては、会社が買取することになると、増資をして資金調達することになるだろう。時価総額は変わらなくても、株価は半分になる可能性がある。この課題が解決されないなかでビザスクの株を購入する選択はなかなか難しい。

以 上

 

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