成長鈍化のビザスク、買収したColemanの苦戦つづく!

 グローバルENS(Expert Network Service、エキスパートネットワークサービス)や国内事業者向けにインタビュー、オンラインサーベイなどサービスを展開しているビザスク(VISASQ)。国内のビザスクは好調なものの、買収したColemanの業績が低迷し赤字を継続している。ビザスクの業績と株価はどうなるのか?

営業赤字継続のビザスク、買収したColemanが足を引っ張る!(2023年10月14日投稿)

グローバルENSのビザスク(VISASQ)、ほぼ成長停滞、COLEMANの買収効果は?(2023年7月16日投稿)

■基本情報(2024年1月19日時点)

  • 株価:926円(10年来高値:7,120円)
  • 時価総額:85億円
  • 予想PER:未定
  • PBR:2.72倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:61.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:6,499人(2023年2月28日時点)

■ビザスクの業績は?

 ビザスクの2024年2月期の第三四半期の売上高は66.3億円(前年比+5.2%増)、営業利益△1.6億円(前年同期は88百万円の黒字)と増収赤字転落となった。ビザスクは売上総利益を公表しておらず、取扱高営業収益率で事業概況を把握するのがよい。

 取扱高営業収益率は74%(前年同期は72%)と少し改善している。ただ、四半期の推移で取扱高と営業収益(売上高)をみると、ほぼ横ばいになっていて成長感がみられない。

■ビザスクの事業状況は?

 国内のビザスクは堅調であるものの、買収した米国のColemanは赤字がつづいている。Colemanの売上高は前年同期で△10%くらい下がっており、赤字額は△6.6億円→△10.0億円と拡大している。しかしながら、決算説明資料などでColemanが苦戦している背景や状況の説明がなく、実態がよくわからないのが現状だ。

■将来的なビザスクのリスクは?

 ビザスクのリスクはいくつかある。2021年のColeman買収により巨額の無形固定資産(のれん等)を計上しており、将来的なキャッシュフローが見込めないことにより減損リスクがある点だ。無形固定資産の減損はキャッシュアウトを伴わないので、経営上の致命的なリスクではないが、株価には大きく影響する可能性がある。

 もう一つは、Coleman買収時に発行したA株とB株の存在だ。A株は75億円、B株は13.8億円と大きな金額。現在は純資産に参入されているものの、5年を超えると買取請求することができる、と発行条件に記載されている。

 ビザスクの株価が取得価格の1株あたり3,724円を大きく下回っており、このままだとA株、B株ともに買い取り請求が発生する可能性がある。万が一、買取請求となった場合、新たな資金調達を考えなければならず、ビザスクには大きな影響になる。

■ビザスクの財務状況は?

 ビザスクの2023年11月末時点の財務諸表をみると、現預金は40億円、のれん関係の無形資産は約150億円。負債は、有利子負債が35億円、契約負債(前受金)が17億円、繰延税金負債が21億円となっている。かりに無形固定資産を減損すると、債務超過に陥るだろう。

■ビザスクの株価推移は?

 ビザスクの現在の時価総額は約85億円。ビザスクの公開価格は1,500円、初値は1,310円であり、現在の1,000円未満の株価は、ほぼすべての株主が含み損になっていることを示す。とにかく、Colemanが復活してくれないと、ビザスクはにっちもさっちもいかない状況だ。

(画像1)ビザスクの株価推移

以 上

 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする