ソフトウェアテストを請け負うSHIFT(シフト)。ソフトウェアテストのアウトソーシング比率は市場全体の1%と言われており、残り99%はソフトウェアの開発企業自身がおこなっている。現在ではECサイト、スマートフォンアプリ、ゲーム、会計システムなど、さまざまなところにソフトウェアが導入されており、そのソフトウェアが正しく動くのか、異常は発生しないか効率的にテストするサービスをSHIFTは提供している。SHIFTは新しい市場を開拓し、売上高は急成長中。どこまで成長はつづくのか?
■基本情報(2020年6月26日時点)
- 株価:11,130円
- 時価総額:1,771億円
- 予想PER:121.7倍
- PBR:18.75倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:58.7%
■SHIFTの事業内容は?今後の行方は?
SHIFTは2005年創業。2009年からソフトウェアテスト事業を開始し、2014年11月に東証マザーズに上場。2019年10月東証一部に市場変更。現在の事業を開始してから約10年で時価総額1,700億円規模まで拡大。SHIFTの2019年8月期の売上高は195億円(前年比+52.7%)、営業利益は15.4億円(前年比+28.3%)と絶好調。 直近の2020年8月期の第二四半期の数値をみると、売上高128億円(前年同期比+55.1%)、営業利益12.4億円(前年同期比+156.7%)とさらに成長を加速させている。
SHIFTはこれまで各企業が自社でおこなっていたソフトウェアのテストをアウトソーシングという形で請け負うビジネスモデル。各顧客はこのソフトウェアテスト(品質保証)を委託することでコストを抑えられる、また、これまでの固定費だった人件費を変動費に変更できるメリットがある。SHIFTのエンジニア数は連結ベースで3,924人(2020年2月末時点)。顧客を増やし、エンジニア数を増やすことで売上高、収益を増加させるビジネスモデルだ。
■SHIFTの事業リスクは?
今後のSHIFTの業績を予想するには、顧客数、エンジニア単価、エンジニア数の増減に注意が必要だ。SHIFTのリスクとしては、連結ベースのエンジニア(正社員)が2,000名を超えており、固定費の増加に注意が必要だ。経済環境の変化で需要がしぼんだときに、売上高が減少するものの、固定費の削減はむずかしい。
SHIFTは新しい市場で急成長しているものの、いまのところ目立った競合相手はいない。今後もこのような状況がつづくとは限らない点も注意が必要だ。SHIFTの連結ベースでのエンジニアは約4,000人。今後もスキルをもったエンジニアを採用し続けれるか大きな課題だ。SHIFTのホームページには「年収500万円以上の採用者には入社祝い金100万円をプレゼント」と記載されている。すでに人材確保に苦労していることを予想できる。
■SHIFTの株価推移は?今後の株価の行方は?
SHIFTの株価はきれいな右肩あがりを描いている。株価は上場来最高値圏。SHIFTの時価総額はすでに1,700億円。この規模は、たとえば、売上高1,000億円を超え、営業利益200億円を超すミクシィ(2121)の時価総額1,500億円を上回る。もちろん、成長段階と成熟期にはいった企業では期待度が異なるため単純に比較できないが、SHIFTの株価にはかなり期待が織り込まれたと考えるべきだ。
株価チャートを見るかぎりは、このまま右肩あがりが継続しそうな予感はするものの、何かネガティブサプライズが起こったり、相場状況の急激な悪化が起こる可能性もあり、当面は様子見が無難だ。
以 上