「サービスEC」のココナラ、売上予想は下方修正、成長をどう見るべきか?

 スキルシェアのマッチングサービス「coconala」や「coconala法律相談」を展開しているココナラ。2023年7月14日に決算発表と同時に通期連結業績予想の修正を発表し、営業収益(売上高)は当初の48億円→46億円に下方修正を実施。いっぽう、営業利益は△7.0億円→△2.2億円に赤字幅の縮小を発表。週明けの株価はどのように反応するだろうか?

EC型のスキルマーケットプレイスのココナラ(coconala)、成長重視で赤字継続!(2023年5月4日投稿)

スキルのマーケットプレイス「coconala」運営のココナラ、成長も広告負担が重い!(2023年2月23日投稿)

■基本情報(2023年7月14日時点)

  • 株価:356円(10年来高値:2,899円)
  • 時価総額:85億円
  • 予想PER:-(赤字予想)
  • PBR:4.44倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:37.8%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:11,198人(2022年8月31日時点)

■ココナラの業績は?

 ココナラの2023年8月期の第三四半期の売上高は33.6億円(前年同期比+20.4%増)、営業損益は△2.2億円(前年同期は△3.9億円)と増収赤字幅縮小となった。ココナラは売上総利益を公表していないため、取引高と売上高(営業収益)のテイクレートというもので粗利率を考える必要がある。

 ココナラの2023年8月期の第三四半期(単期)をみると、流通高は37.6億円(前年同期比+13.5%増)、売上高は11.6億円(前年同期比+16.2%増)、テイクレートは+27.2%(前四半期は+27.6%、前年同期は+27.2%)となっている。だいたい、27%前後のテイクレート(手数料料率)となっている。

 なお、2023年8月期の第二四半期(単期)である前回の決算説明資料をみると、流通高は35.5億円(前年同期比+17.6%増)、売上高は11.1億円(前年同期比+21.8%増)であり、第三四半期の成長率が大きく鈍化していることがわかる。

■通期業績の下方修正!

 足元の状況をみると、ココナラの成長性は鈍化しており、決算発表とあわせて、売上高(営業収益)の下方修正と営業利益の上方修正(赤字幅の縮小)を発表した。成長銘柄がトップラインである売上高の成長鈍化を発表していることは悩ましく、将来的なココナラの事業規模が少し見えてきたような気がする。

 イメージ的には、クラウドワークスやランサーズと同じようなテイクレートであり、爆発的にマーケットが伸びる領域ではないと言えるのではないだろうか。ココナラの現在の時価総額は約85億円、年間の取引高は約160億円、売上高は46億円という事業規模。クラウドワークスは時価総額約200億円、取引高は約230億円、売上高は130億円、テイクレートは55%くらいとなる(テイクレートのベースをそろえている)。

 クラウドワークスをベンチマークで考えると、ココナラの収益力が低く、なかなか利益のでる事業モデルではないのかもしれない。

シューマツワーカー社を連結化、成長加速のクラウドワークス!(2023年7月2日投稿)

■ココナラの財務状況は?

 ココナラの2023年5月31日時点の財務諸表をみると、現預金は32億円、投資有価証券は6.7億円。いっぽう、負債をみると、有利子負債はゼロ、預り金は9.6億円となっており、利益剰余金が△17.7億円と累計で赤字計上しているものの財務状況は健全だ。

 ココナラは2021年3月に東証マザーズに上場。そのときに、約24億円ほど資金調達している。なお、株式の売り出しで143億円を現金化しており、上場前の投資家の多くは多額の利益を上げている。上場時の初値は2,300円で、初値ベースの時価総額は494億円(現在の時価総額は85億円)となっている。

■ココナラの株価推移は?

 ココナラの時価総額は約85億円。一時は株価2,900円まで上昇したものの、現在の株価は350円台。多くの投資家が含み損を抱えている状況だ。すでに株主数が1万人を超えており、当面、ヨコヨコの推移が続くのではないだろうか。

 ココナラは広告宣伝費を年間で10億円以上も投入している。いまは赤字でも事業規模が大きくなり、将来的には広告宣伝費が小さくなり、高い利益率を出せると考えている投資家が多いかもしれないが、利益構造的に難しい気がする。

(画像1)ココナラの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする