採用代行、スポットワーク(すきま時間雇用)のツナググループ、アフターコロナで需要増?

 採用代行(RPO、Recruitment Process Outsourcing)や採用情報活用のコンサルティング、スキマ時間労働の仲介のスポットワークなど雇用に関するサービスを提供しているツナググループ・ホールディングス(以下、ツナググループ)。世の中はアルバイト不足でスポットワーク需要が増えているというニュースを見るものの、ツナググループのスポットワークの売上増は限定的。今後のツナググループの業績と株価の行方は?

■基本情報(2022年9月30日時点)

  • 株価:356円(10年来高値:2,306円)
  • 時価総額:30.4億円
  • 予想PER:17.8倍
  • PBR:2.83倍
  • 予想配当利回り:1.4%
  • 自己資本比率:21.5%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:4,060人(2021年9月30日時点)

■ツナググループの業績は?

 ツナググループの2022年9月期の第三四半期の売上高は93.5億円(前年同期比+11.4%増)、営業利益1.7億円(前年同期は△1.6億円の赤字)と増収黒字転換となった。ツナググループの売上総利益率は+47.8%(前年同期は+48.1%)、営業利益率は+1.8%。

 ツナググループの売上総利益は44.7億円あるものの、販管費が43億円発生しているため、差し引きの営業利益率は1.7億円にとどまる。販管費の内訳については、有価証券報告書に記載があり、2021年9月期のものであるが、人件費23.4億円が大半を占めている。その次に、広告宣伝費9.3億円となっており、広告宣伝費は削減可能であるものの、削減すると売上高に大きく影響するだろう。

 なお、ツナググループは2007年2月28日に設立、創業者はリクルート出身者。従業員数はグループ合計で641名(2021年10月時点)となっている。おそらく、人件費のほとんどは販管費に参入されており、粗利がそれほど高いビジネスモデルではないと思われる。

■ツナググループの事業内容は?

 ツナググループの主力事業は採用代行(RPO事業)だ。全体の約40%くらいを占めている。つぎに、スポットワーク(スキマ労働)が20%、DXリクルーティングが15%とつづく。

 採用代行とは、求人発注代行、応募受付代行などアルバイトをメインとした事業をしている。大手企業330社の顧客と9万事業所(店舗など)と幅広い顧客を抱えている。2022年9月期の第三四半期はコロナ禍の停滞から大きく伸びた年。よって、黒字化に大きく貢献した事業だ。

 DXリクルーティングは「Findin(ファインドイン)」というサービスを展開しており、ツナググループが保有する求人関連データを活用したWeb広告サポートの事業。採用サイト構築、応募管理などもオプションで対応している。

 スポットワークは短期求人(単発バイト)を提供するもの。「Shotworks(ショットワークス)」というサイトを運営している。「明日だけ」「今週だけ」などの単発バイトを探すことができるサイトを運営。アルバイトとしては、商品搬入作業(日給+交通費)、飲食店洗い場、イベント会場の設営・撤去、コンビニ、フードデリバリーなど。

 セブンイレブン・ローソンなどの求人が目立つ。直近数年以内のコンビニ経験者を募集している。たしかに、コンビニ業務は複雑しており、経験者でないと役に立たないだろう。

■ツナググループの財務状況は?

 ツナググループの2022年6月末のB/Sをみると、現預金は8.7億円あり、のれん・顧客関連資産などM&A関連の無形資産が約12億円ある。この償却により年間約1.0億円くらいはP/Lにマイナス影響となっている。

 ツナググループの有利子負債は約20億円ほどあり、企業規模や財務状況から考えると、けっして健全ではない。これまでの利益の累積である利益剰余金はマイナス1.8億円となっており、利益配当を出せる状況ではない。

■ツナググループの株価の行方は?

 ツナググループの時価総額は約30億円。最近、自由な働き方であるギグワークやノマドなど耳にする機会が多いものの、スポットワークのプラットフォーム事業である求人サイトも利益をしっかり稼げる規模まで膨らんでいない。

 単発バイトの求人サイト・アプリとしては、「シェアフル(パーソル運営)」「タウンワーク」「スキマワーク」「Lacotto(ラコット)」「キャストポータル(フルキャスト運営)」「マッハバイト(リブセンス運営)」「バイトレ」「Timee(タイミー)」など競合他社が多い。

業績回復のリブセンス!「マッハバイト」「転職会議」が上向きに!!(2022年8月13日投稿)

 利益モデル的にそれほど利益がでる構造ではない可能性が高い。ただ、言い換えると、人気のないなかで収益構造が変化し、利益がでる事業になれば株価は一気に上昇する可能性はあるだろう。「マッハバイト」のリブセンスも業績が回復して、株価は底を打った感じもある。

(画像1)ツナググループ・ホールディングスの株価推移

以 上

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