企業のコスト削減、業務改善などのコンサルティングや間接材購買のクラウドサービスであるプロサイン(Pro-Sign)を展開するプロレド・パートナーズ(以下、プロレド)。プロレドは企業のコスト削減に応じて報酬を受け取る完全成果報酬型のコンサルを中心にしており、インフレ圧力によりコスト上昇方向で削減額が思ったよりも積み上がらず成果報酬額がさがっている逆風となっている。プロレドの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2022年4月28日時点)
- 株価:542円(10年来高値:6,280円)
- 時価総額:61億円
- 予想PER:29.5倍
- PBR:0.97倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:67.0%
- 会計基準:日本基準
■プロレドの業績は?
プロレドの2022年10月期の第一四半期の売上高は7.5億円(前年同期比△14.8%減)、営業利益は+0.3億円(前年同期は+2.1億円)と減収減益となった。プロレドの売上総利益率は+58.4%(前年同期は+64.5%)、営業利益率は+6.6%(前年同期は+27.6%)と大きく悪化している。
約40年ぶりの企業物価の高騰となり、プロレドは完全成功報酬型の収益モデルのため、企業のコスト削減幅が以前よりも大きく落ちていることが収益悪化の大きな要因だ。1案件あたりのコスト削減額が縮小傾向となっている。案件数は2020年1Qの461案件、2021年1Qの542案件、2022年1Qの654案件と増加しているものの、売上高(報酬高)は減少傾向となっている。特に、小売・飲食の落ち込みがはげしい。
小売・飲食の売上規模が戻ってくると、プロレドの報酬額も拡大してくるので、間接的に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けていると言えるかもしれない。
■プロレドの事業概要は?
プロレドはコスト削減の完全成功報酬型のコンサルティングサービスで有名だ。コンサルタント数は100名で現在は横ばいとなっている。プロレドの決算説明資料をよく読むと、成果報酬の成果測定時にインフレ影響が入り込み、プロレドの受け取る報酬が減っているとコメントがあり、いかにインフレを除く成果を顧客に認めてもらうかがポイントになりそうだ。
■期待されるPro-Sign(プロサイン)
プロレドが現在、積極的に投資しているのは間接材調達コストを可視化・分析できるプロサインというクラウドサービスだ。これまでのコストマネジメントのノウハウを詰め込んだソフトウェアと言える。2022年1Q時点での導入社数は298社。年間で約8億円の投資をしているプロレドの将来を支えるサービスになる見込み。現在はソフトウェア仮勘定(資産)に投資額を計上しているため、現在の収支悪化の影響にはなっていない。
おそらく、いまは無料で顧客に利用してもらっているケースが多いと思われるが、今後は月10万円くらいで利用してもらう計画だ。300社の導入で月3,000万円、年間3.6億円のサブスクリプション型のビジネスとなる。
■プロレドの中期経営計画は?
プロレドの2025年度の中期経営計画の売上高は103億円、営業利益は公表していない。この中期経営計画の目玉はやはりプロサインの成長だ。2025年度にはプロサインの課金社数は2,000社を計画しており、従量課金と月額課金(固定)で年間売上高47億円を目指す。
たしかに、コスト削減で顧客を獲得し、その流れでプロサインを導入してもらうというのは良い方法かもしれない。プロサインにかぎらず、パートナー企業からシステム導入の代理店業務をしてもよいかもしれない。
■プロレドの株価推移は?
プロレドの時価総額は約60億円。プロレドの2022年1月末のB/Sを見ると、現預金44億円、投資有価証券29億円を持っており、それらを差し引くと企業価値はほぼゼロとなる。つまり、売られ過ぎと言ってよいだろう。
たまたま、インフレによる成果報酬が縮小しており、表面上のP/Lが悪く見えるものの、プロレドのビジネスモデルが悪くなっているわけではない。株価は最高値から10分の1くらいまで下落しており、割安感が大きい。財務的にも健全だ。間接材コスト削減のスタンダードとしてプロサインが利用されるようになったときには、企業価値もいまの数倍の価値で評価されるのではないだろうか。引き続き、プロレドを注目したい。
以 上