「塾ナビ」「家庭教師比較ネット」などのイトクロ、どんどん下がる株価と業績!

 「塾ナビ」「家庭教師比較ネット」「みんなの学校情報」などさまざまな比較サイトなどを展開しているイトクロ。現預金84億円を持っているものの、時価総額がたった88億円しかない超割安株価の企業。3年前の2019年頃から株価は下がり、すでに10分の1くらいまで下落。けっして、赤字企業ではないものの、成長性の鈍化で株価は上がらない。

「塾ナビ」「みんなの学校情報」のイトクロ、株価下落が止まらない!(2022年1月30日投稿)

「塾ナビ」「みんなの学校情報」など教育領域メディア展開のイトクロ!(2021年6月12日投稿)

■基本情報(2022年8月5日時点)

  • 株価:388円(10年来高値:3,825円)
  • 時価総額:88億円
  • 予想PER:14.9倍
  • PBR:0.86倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:93.6%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,946人(2021年10月31日時点)

■イトクロの業績は?

 イトクロの2022年10月期の第二四半期の売上高は20.5億円(前年同期比△13.7%減)、営業利益4.1億円(前年同期比△56.9%)の減収減益。イトクロの売上総利益率は+89.4%(前年同期は+89.3%)、営業利益率は+20.2%(前年同期は+40.5%)。

 イトクロは売上高が下落しているものの、販売管理費を前年同期の11.6億円→14.2億円と約2.5億円増加させたことが営業利益の大きな減少につながった。イトクロは教育メディアという事業領域であるが、新型コロナウイルス感染の影響を決算説明資料で解説しているものの、本当に影響があるか見極められない。

 親にとって子どもの教育はきわめて重要であり、新型コロナウイルス感染を理由に教育をおろそかにすることはないのではないだろうか。旅行・外食などのレジャー支出が減っており、なおさら教育にかける余裕がでているが、スタディサプリなどの新しい教育媒体にマーケットが移行していることはないか?

■イトクロのビジネスモデルは?

 イトクロは「塾ナビ」「みんなの学校情報」などの教育領域特化型メディアを運営。そのメディアを通してクライアント企業への「送客」による成果報酬型の報酬を受け取っている。ユーザーが資料請求することで、送客できるビジネスモデルで、資料請求数の増加がキーになる。あたらしい教育システム(スタディサプリ等)の登場により、クライアント企業の集客力が減少している可能性はないか?

 もう一つの収益源泉は、Google Adsenseなどによる広告による報酬。ページビュー(PV)の増加により広告収入に影響がでる。学習塾予備校領域の市場規模は年間9,000億円台で推移している。この規模感は10年以上かわっていない。

 教育メディアのサイト訪問のユーザー数(月間ユーザ数)をみると、1,586万ユーザーがサイトを訪問しており、新型コロナウイルス感染でサイト訪問者数が大きく減少しているわけではない。言い換えると、サイトを通じた資料請求数が大きく落ちているということだ。

■イトクロの財務状況は?

 イトクロの財務状況はきわめて健全だ。現預金は84億円もっており、有利子負債はゼロ。自己資本比率は90%を超えている。言い換えると、配当をせずに現預金をため込みつづけている。時価総額が約90億円であることを考えると、株価指標的には非常に割安となっている。

 イトクロのキャッシュフロー計算書をみると、設備投資が不要なため、現預金がどんどんたまっていく利益構造になっている。従業員数も153名(2021年10月末時点)とそれほど多くないため、一人当たりの人件費を700万円で計算しても、年間10.7億円レベルと固定費負担も少ない(年間売上高は44億円)。

■イトクロの株価推移は?

 イトクロのたった4年弱で株価は10分の1程度まで下落。成長性に疑問点がついたのが痛い。しっかり利益を出している企業だけに、ここまで株価が下がるとは見ていなかった人も多いだろう。イトクロは配当は出さないものの、自己株式の取得を進め、2022年4月末時点で239万株(株価換算:9.3億円)を保有している。なお、財務諸表の純資産の部には3.3億円が自己株式として計上されている(取得したときの株価が非常に低かったと思われる)。

 イトクロの株価の見極めについては、アフターコロナで需要が本当に戻ってくるかにかかっている。業績自体は大きく落ち込んだため、ここから業績が前年比でプラスで推移すれば株価は大きく反発するのではないだろうか。

(画像1)イトクロの株価推移

以 上

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