モバイル端末管理サービスのアイキューブドシステムズ、テレワークの導入が追い風か?

 法人向けモバイル端末管理サービス「CLOMO(クロモ)」を中心にビジネス展開しているアイキューブドシステムズ。2001年9月設立の福岡本社のIT企業。新型コロナウイルスの影響によるテレワーク(リモートワーク)の特需により導入法人数は3,131社まで増加。2020年6月から9か月間で+702社の増加となった。継続率は95%前後となっている。アイキューブドシステムズの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年6月25日時点)

  • 株価:4,445円(10年来高値:9,490円)
  • 時価総額:233億円
  • 予想PER:60.1倍
  • PBR:15.3倍
  • 予想配当利回り:0.22%
  • 自己資本比率:68.8%
  • 会計基準:日本基準

■アイキューブドシステムズの業績は?

 アイキューブドシステムズの2021年6月期の第三四半期の売上高は14.5億円(前年同期比+21.1%増)、営業利益3.9億円(前年同期比+7.2%増)の増収増益となった。アイキューブドシステムズの売上総利益率は+75.9%(前年同期は+80.6%)、営業利益率は+26.9%(前年同期は+29.8%)と若干悪化傾向となっている。

 アイキューブドシステムズの決算説明資料を読むと、減価償却費と製造経費の増加により売上原価率(19.4%→24.1%)が+4.7ポイント増加し、売上総利益率が悪化。加えて、販管費が6億円→7.1億円に1.1億円増加したことが営業利益率悪化の要因となっている。アイキューブドシステムズの無形固定資産をみると、ソフトウェア勘定が1.1億円→0.2億円に大きく減少している。なお、アイキューブドシステムズの従業員数は2021年3月末で76名。

■アイキューブドシステムズの事業内容は?

 アイキューブドシステムズは法人向けモバイル端末管理サービスの「CLOMO(クロモ)」事業が中心だ。「CLOMO」は企業の従業員・医療関係者・学校の教員・生徒などをが使用するモバイル端末(スマートフォン、タブレット端末)を遠隔で管理・監視・制限するサービスだ。

 たとえば、学校の授業中に授業で使用している機能以外を制限したり、ほかのアプリケーションをインストールしないように設定したりできる。病院などでも、いま使われているモバイル端末を1台のパソコンから管理したり、業務時間外には使用できないように制限したりすることが可能だ。モバイル端末の利用が広がっており、従業員が勝手にソフトウェアのインストールや会社提供の端末でのゲームや不必要なサイトへのアクセスを制限できる機能にニーズがでている。

■「CLOMO」のKPIは?

 「CLOMO」の2021年3月末の導入法人数は3,131社。2020年6月末は2,429社だったため9か月間で+702社の増加となった。継続率は95%前後となっており、いったん契約すると解約しにくい事業モデル。いわゆるサブスクリプション型の事業で安定的に収益が入ってくる。

■アイキューブドシステムズの株価の行方は?

 アイキューブドシステムズの時価総額は233億円。売上規模20億円で前年比+20%の成長性だけをみると割高感はあるものの、いまの株式市場でサブスクリプション型のビジネスの企業評価は高い。将来的に売上高100億円になったときには営業利益25~40億円くらいは目指せるポテンシャルはある。いまのクラウドITサービスを行っている企業は、たとえば、freee(フリー)、Sansan、ラクス、マネーフォワードなどいまの成長率が10以上も続くような企業評価となっており、時価総額は3,000億円~5,000億円と、とんでもない評価となっている。

 それらの高い時価総額の企業とくらべると、アイキューブドシステムズの時価総額は妥当なラインのようにも見える。ただし、成長性が1ケタに落ちたときは高い予想PERは許されなくなることに留意が必要だ。

(画像1)アイキューブドシステムズの株価推移

以 上

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