企業のプレスリリースのプラットフォームを構築してサービスを展開しているPR TIMES(PRタイムス)。利用企業数は4.7万社を超え、国内上場企業の43%(1,652社)が利用しているサービスを提供している。 売上高37億円、営業利益14億円という高収益企業で、従業員数はなんと50名程度。PR TIMESはもともと2005年にベクトルの100%子会社として設立され、現在でもベクトルが筆頭株主として56.4%保有している。PR TIMESの株価は2020年3月のコロナショックで一時的に下落したものの、そこから約7倍まで急騰。PR TIMESの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年2月5日時点)
- 株価:3,758円(10年来高値:4,815円)
- 時価総額:509億円
- 予想PER:45.4倍
- PBR:20.58倍
- 予想配当利回り:0%(無配)
- 自己資本比率:76.8%
- 会計基準:日本基準
■PR TIMESの業績は?
PR TIMESの2021年2月期の第三四半期の売上高は27.7億円(前年同期比+27.9%増)、営業利益11億円(前年同期比+110.2%増)の大幅な増収増益となった。PR TIMESの売上総利益率は+85.4%、営業利益率は+39.9%と高い。PR TIMESにとって、新型コロナウイルスの影響はまったくない結果となっている。四半期ベースの売上高、営業利益をみても過去最高を更新している。
■堅調な利用企業の増加がつづく!
PR TIMESの利用企業者は堅調に増えている。現状4万7,324社のが利用しており、上場企業の43.1%にあたる1,652社が利用している。そもそも、ニュースリリースとして広く周知したいニーズがあるもので、PR TIMESが提携しているメディア(テレビ、新聞、雑誌、Webなど)に一括して展開するメリットがある。PR TIMESが積み上げてきたネットワークが効果を発揮する部分で参入障壁は高い。PR TIMESを通してプレスリリースすることで、新聞・雑誌などのメディアに再掲載される確率が高くなるメリットは大きい。
■サブスク型ビジネス、PR TIMESの料金は?
PR TIMESの料金プランとして、従量課金プランは1配信3万円、配信し放題の定額プランであれば月契約で8万円(年間96万円)となっている。半年契約や年間契約であれば割引が適用される。PR TIMESはプレスリリースのプラットフォームを築いているため、顧客がいくら増えても固定費はそれほど変わらないため、高い売上総利益分だけ営業利益が増えていく仕組みだ。
PR TIMESはプレスリリースのプラットフォーム事業以外では、タスク・プロジェクト管理ツールの「Jooto」、カスタマーサポートツールの「Tayori」、広報活動の効果測定などのツールである「Webクリッピング」などのサービスも展開している。ただし、それぞれの売上高などが公表されていないため売上高への影響度は決算説明資料からは見えてこない。
■PR TIMESの株価推移は?
PR TIMESの時価総額は約510億円。グロース銘柄としてはエムスリー、メドピア、ラクス、freee(フリー)、SansanなどのITクラウド企業にくらべて予想PERは低い。ほかの銘柄は予想PERが100倍を超えている(PR TIMESは50倍程度)。PR TIMESの成長性と収益性を考えると、時価総額1,000億円を目指してもおかしくない。親会社のベクトルの時価総額が650億円のため、親子間の時価総額が逆転する可能性も十分あり得る。
PR TIMESで心配されるのは国内のプレスリリース市場がどこまで広がるかという点だ。すでに上場企業の4割が導入しており、かりに倍増の8割が導入した場合に営業利益は年間30億円前後とみられる。そのときには売上高の伸び率が1ケタになっている可能性があり、グロース銘柄としての高い評価を持てるか疑問が残る。もちろん、次の柱となる新規事業が生まれている可能性もありえるが、PR TIMESの成長性には注意してみていく必要がある。
以 上