黒字転換のバルミューダ、本当の回復か見極めが必要か!?

 BALUMUDA(バルミューダ)のブランドでトースター、ケトル、扇風機などのオシャレな家電を販売しているバルミューダ。スマートフォンの失敗から上手くいっておらず、競合他社がバルミューダに類似したデザイン性の高いキッチン家電を販売し苦戦がつづいている。ようやく四半期単期で営業利益が黒字化し、このまま回復が続いていくのか?見極めが必要な段階だ!

苦戦つづくバルミューダ、売上総利益率の悪化が大きく浮上の兆し見えず!(2023年11月12日投稿)

円安直撃のバルミューダの決算、2023年度は売上高減の厳しい業績見通し!(2023年2月11日投稿)

■基本情報(2024年8月9日時点)

  • 株価:1,083円(10年来高値:10,610円)
  • 時価総額:91億円
  • 予想PER:183.2倍
  • PBR:2.12倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:65.8%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:7,398人(2023年12月31日時点)
  • 事業価値:85億円

■バルミューダの業績は?

 バルミューダの2024年12月期の第二四半期の売上高は63.3億円(前年比+10.2%増)、営業利益△91百万円(前年同期は△7.0億円の赤字)と増収赤字幅の大幅縮小となった。バルミューダの売上総利益率は+30.4%(前年は+29.9%)と若干の改善となった。

 バルミューダの売上総利益は前年の17.2億円→19.2億円と+2.0億円の改善、販管費は前年の24.2億円→20.1億円と△4.1億円の改善となり、営業利益は+6.1億円の改善となった。バルミューダは2023年12月末の従業員数167名→129名と大きく削減。より遡ると、2022年12月末は213名の従業員がいたことを考えると、大きく組織体制を見直ししている。

■バルミューダの業績推移は?

 バルミューダはコロナ禍の2020年12月16日に東証マザーズに上場し、公募増資などで約24億円を資金調達している。上場時の公募価格は1株あたり1,930円(現在は1,083円)で、時価総額は約140億円(現在は91億円)。上場時の初値ベースでは時価総額243億円と高く、上場時に購入した人すべて含み損の状態だ。現在は上場来最安値近辺の株価のため、バルミューダ株では含み損の人しかいないと言っても過言ではない。

 バルミューダの上場直後の2020年12月期の売上高は126億円、経常利益12.5億円。そこから2021年12月期は売上高184億円、経常利益14.6億円と改善したものの、スマートフォンの失敗と競合他社のデザイン性の高まりなどで業績は大きく悪化している。

 バルミューダの2021年12月期の従業員平均給与をみると、平均年齢41.5歳、平均年収922万円。業績悪化となった2022年12月期は平均年齢41.8歳、平均年収796万円。2023年12月期は平均年齢40.8歳、平均年収727万円と大きく下がっている。正直、給与水準は悪くないものの、年収が上がらないのであれば、離れていく従業員も少なくないだろう。

■バルミューダの事情状況は?

 バルミューダはファブレスメーカーで工場を持たない。そのため、いまの円安が進行している中では業績面でマイナス影響となる。ここ数日の利下げショックで為替レートが一気に円高にふれており、バルミューダにはプラスに作用すると思われるが、少し時間がかかりそうだ。

 バルミューダの心配点は、小型風力発電機の商用化という異分野にチャレンジしている点だ。スマートフォンで大きく失敗しており、今度失敗すると、後がないと言っても過言ではないだろう。そもそも、バルミューダの強みはデザイン性であり、風力発電機で何を目指しているかわからない。

 いまの業績回復を支えているのは、韓国市場だ。日本市場は引き続き苦戦しているものの、韓国市場が前年比で大きく伸びている。ただ、デザインは模倣されるし、飽きられる。バルミューダの製品はハイエンドユーザー向けであり、競争が激しい領域でもある。

■バルミューダの株価推移は?

 バルミューダの時価総額は約90億円。すでに上場時の最高値から10分の1くらいまで下落している。バルミューダがキッチン家電に注力するのであれば株価購入のチャンスかもしれないが、小型風力発電が投資を躊躇してしまう理由。ただ、このまま業績が回復する可能性もあり、引き続きウォッチが必要だ。

以 上

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