M&Aキャピタルパートナーズ、中小企業のM&A仲介で成長つづける!

 中小企業向けのM&A仲介で成長をつづけているM&Aキャピタルパートナーズ(以下、M&Aキャピタル)。日本M&Aに規模では負けているものの、業界の中心に存在する仲介企業。事業継承の波に乗り、2010年代から成長を続け、株価は上場来10倍以上まで拡大。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2022年5月2日時点)

  • 株価:3,760円(10年来高値:6,820円)
  • 時価総額:1,193億円
  • 予想PER:26.2倍
  • PBR:4.2倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:84.4%
  • 会計基準:日本基準

■M&Aキャピタルの業績は?

 M&Aキャピタルの2022年9月期の第二四半期の売上高は89.7億円(前年同期比+17.8%増)、営業利益42.7億円(前年同期比+25.1%増)の増収増益。売上総利益率は+64.8%(前年同期は+66.7%)、営業利益率は+47.5%(前年同期は+44.8%)と極めて高い水準となっている。

■高い報酬!平均年収は2,000万円超!

 M&Aキャピタルの従業員数は連結ベースで214名(単体:146名)。M&Aキャピタルパートナーズ株式会社の平均年収は2,269万円(平均年齢は31.4歳)と国内最高峰の年収レベルとなっている。収益性が高い企業であり、いかに知識ハードワークな人材を獲得するかがポイントであり、年収に出し惜しみがないと言ってよい。年収を低く抑えると、その分、法人税をがっつり徴収されてしまうため、高報酬は成長のための必要投資という位置づけだ。

 コンサルタント1人あたりの年間売上高は1.3億円で、経常利益は6,700万円となっている。バックオフィス(管理部門)の人員もいるものの、設備投資がない企業であり、売上高のほとんどが営業キャッシュフローになるため、従業員に還元できる仕組み。いわゆる、高付加価値な業務内容と言えるだろう。

■M&Aキャピタルの事業内容は?

 M&Aキャピタルの事業内容は、中小企業を中心とした譲渡企業と買い手とのマッチング仲介だ。売り手・買い手の双方から仲介手数料を徴収する。不動産売買、人材紹介と同じように、仲介業は利益率の高いビジネスモデル。ノウハウが必要なため、簡単に参入できる領域ではない。

 M&Aキャピタルの手数料体系は、純資産(同社は株式価額という)に対して5億円以下は5%、5~10億円以下は4%、10~50億円以下は3%、50~100億円以下は4%、100億円以上は1%の料率としている。平均の譲渡価格が13億円と公表しており、1取引あたり平均40百万円くらいではないだろうか。この40百万円を売り手・買い手の双方から徴収するため、1案件あたり80百万円となる。日本M&Aセンターやオンデックなどの同業他社とほぼ同じ水準だ。

M&A仲介トップの日本M&Aセンターホールディングス、成長つづく!(2022年5月3日投稿)

中小M&A仲介のオンデック、紹介を通じて企業売買をマッチング!(2022年5月2日投稿)

 日本の大手企業を中心に行われているM&Aは海外案件などが多く、そこにはFA(フィナンシャルアドバイザー)として大手証券会社、大手投資銀行などが参入しており、M&Aキャピタルがターゲットとしているのは、それよりも小さい規模の国内案件をメインとしている。

■2022年度のM&Aキャピタルの業績予想は?

 M&Aキャピタルの2022年9月期の業績予想は過去最高を予想している。売上高162億円(前年比+7.0%増)、経常利益68.2億円(前年比+3.6%増)、成約件数193件(前年比+12.2%増)、コンサルタント数203名(前年比+35名)。M&Aキャピタルの成約件数は1案件あたりでカウントしており、売り手・買い手の双方から報酬をもらうため、他社ベースでは386件(193案件)とカウントすると思われる。

 中堅・中小向けのM&A仲介はこの10年間で大きく伸びた。これから更に伸びるかと言われると、判断がつかないというのが正直なところ。M&Aキャピタルがメインとする国内の中小企業は山ほどあるため、案件はいくらでもあるかもしれない。ただし、仲介企業も増加しており、このまま規模を拡大できるかは判断できない。ただし、ビジネスモデルがフロー型であるので、売上規模が前年比で落ちるケースがでると株価へのマイナス影響は大きいだろう。

■M&Aキャピタルの株価推移は?

 M&Aキャピタルの株価推移を長期で見ると、右肩あがりであることがわかる。しかしながら、大きく上下に振れることが多く、半値になるケースが何度も起こっている。2013年11月に東証マザーズに上場直後から投資している人は気にならないかもしれないが、高値で株を買った人は損をしているケースもあり、株価推移をみると堅調に推移したとは言えない。

 現在の時価総額は約1,200億円で、業界首位の日本M&Aセンターの時価総額は約4,500億円。売上規模は2.5倍の差があり、コンサルタント数は約4倍ほどの差がある。株価指標的には割高感はないものの、サブスクリプション型ビジネスモデルではないため、予想PER30倍前後の現在の株価が妥当のように思う。財務状況は健全だ。当面は様子見が無難ではないだろうか。これから投資するなら、規模の小さいオンデック(時価総額:約45億円)のほうが成長余力に魅力を感じる。

(画像1)はげしく上下するM&Aキャピタルパートナーズの株価推移

以 上

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