クラウド型の売り手と買い手が取引できるBtoBプラットフォーム(受発注、規格書、請求書、契約書、商談)を運営しているインフォマート。主に飲食店と卸・メーカー間の取引を電子化した受発注(FOOD事業)や請求書の電子化(ES事業)の2つを柱にビジネスをおこなっているインフォマート。前年同期で悪化がつづくインフォマート。インフォマートの業績と株価はどうなっているのか?
外食向けのプラットフォーム事業を展開するインフォマート(2492)、成長は継続するのか?(2020年5月16日投稿)
■基本情報(2021年4月30日時点)
- 株価:1,031円(10年来高値:1,130円)
- 時価総額:2,675億円
- 予想PER:554.3倍
- PBR:20.87倍
- 予想配当利回り:0.09%
- 自己資本比率:86.1%
- 会計基準:日本基準
■インフォマートの業績は?
インフォマートの2021年12月期の第一四半期の売上高は23億円(前年同期比+5.5%増)、営業利益3.8億円(前年同期比△20.8%減)の増収減益となった。インフォマートの売上総利益率は+66.7%(前年同期は+71.7%)、営業利益率は+16.7%(前年同期は+22.2%)。どちらの利益率も悪化がつづいている。
インフォマートは月額システム料で安定的に稼げるストック型ビジネスと言っているものの、FOOD事業の受発注では月間取引高の1.2%を手数料として徴収しており、その取引規模が縮小している。具体的な取引金額は公表されていないものの、新型コロナウイルスの影響で飲食業の事業規模が細っていると思われる。そのため、FOOD事業の売上高は前年同期比△3.3%減となった。いっぽう、ES事業は前年同期比+37.9%と伸びているものの、営業赤字が続いている。ES事業はFOOD事業(売上総利益率+72.2%)ほど売上総利益率(+52.1%)はそれほど高くない。
ES事業の請求書の電子化では、「楽楽明細」のラクスなど競合他社も少なくない。インフォマートの請求書電子化がどこまで競争力あるのか見極めが必要だ。
■インフォマートの新しい取り組みは?
インフォマートはFOOD事業とES事業のBtoBプラットフォームのビジネスだけをしているわけではない。新しい取り組みとして、株式会社Goalsと2020年7月に資本・業務提携し、大型チェーンレストラン向けに発注予測クラウドサービスを展開。株式会社タノムとは2021年2月に資本・業務提携し、卸企業向けに効率化支援のクラウドサービス(食品流通DX)を提供している。
インフォマートは自己資本比率86%と財務体質は余裕があり、現預金を63億円もっている。しかしながら、これまではBtoBプラットフォームに頼りすぎ、新サービスの展開が遅れている。いかに現預金を活用していくか新たなチャレンジが必要だった。
■インフォマートの保守的な計画!
インフォマートの2021年12月期の業績予想は売上高95.4億円(前年比+8.7%増)、営業利益7億円(前年比△52.6%減)の増収減益を計画している。配当も従来の約3分の1まで減配としている。インフォマートはデータセンター費やソフトウェア償却費の増加や販促費増加などで減益を計画しているものの、そもそも保守的すぎる計画となっている。
今回、2021年12月期の第一四半期の業績で、すでに2Qの営業利益(計画:+3.3億円)を超過する営業利益+3.8億円の結果となった。費用の発生が遅れていると記載あるものの、2021年2月に計画を発表して2.5カ月で計画が遅延しているという心配な結果となっている。おそらく、実績では計画を超えて過達してくると思われる。
■インフォマートの株価推移は?
インフォマートの時価総額は約2,700億円。株式指標的には予想PER500倍を超えており割高だ。これまではリカーリングビジネス(循環型ビジネス)として安定成長を続けてきたものの、主力のFOOD事業の売上高が前年割れになってしまった。もちろん、新型コロナウイルスの影響があるものの、次の事業を支える柱事業は育っていない。現在は上場来最高値圏に株価はあり、様子見が無難ではないか。
以 上