株価苦戦中のitsumo.(いつも)、EC事業の総合支援サービス展開!

 AmazonはじめとするEC通販サイトの代行運営や直営ブランドの代行運営などECサイトの総合的な支援サービスをしているitsumo.(いつも)。2007年2月設立、社員数は2022年4月時点で255名。一時は時価総額300億円あったものが、現在は50億円規模まで下落。itsumo.(いつも)の業績と株価の行方はどうなるのか?

EC事業(ネット通販)を総合代行するitsumo(いつも)、緊急事態宣言で需要拡大中!(2021年2月21日投稿)

■基本情報(2022年5月27日時点)

  • 株価:873円(10年来高値:5,670円)
  • 時価総額:50億円
  • 予想PER:49.4倍
  • PBR:2.07倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:34.8%
  • 会計基準:日本基準

■itsumo.(いつも)の業績は?

 itsumo.(いつも)の2022年3月期の売上高は116億円(前年比+32.5%増)、営業利益6.0億円(前年比+14.8%増)の増収増益。itsumo.(いつも)の売上総利益率は+26.4%(前年は+24.1%増)、営業利益率は+5.2%(前年は+6.0%)。

 itsumo.(いつも)の事業規模は確実に拡大して売上総利益も増えているものの、販管費も大きく上昇していることが問題だ。限界利益率(売上高ー変動費率)がかなり低い可能性がある。売上高は前年比+32.5%増となったものの、社員数は175名→255名と+45.7%増となり、人件費アは前年比+46.4%増となっている。

■事業モデルの問題か?

 itsumo.(いつも)は事業規模を拡大すると、ECサイトを運営する人員が大幅に増え、結局、その固定費と変動費の増加により、利益率の高い事業モデルではない可能性が高い。そもそも、売上総利益は+25%前後と高いものでもない。

 itsumo.(いつも)の自己資本比率は34.8%とそれほど高くなく、有利子負債を約30億円ほど持っている。現預金を41億円ほど持っているため、ネットで+10億円くらいの現預金にはとどまっている。

■itsumo.の事業内容は?

 itsumo.(いつも)は、ECマーケットプレイスサービス(売上高:94億円)とECマーケティングサービス(売上高:22億円)の2つの事業をおこなっている。ECマーケットプレイスは他社のブランド公式サイトの代行運営(EC事業代行「ハンロー」)とブランドバリューアップという他社ブランドの買収だ。2021年度は11ブランドをM&Aで買収している。

 ECマーケティングはストック売上高92.8%の安定した収益をあげており、売上規模は小さいものの、itsumo.(いつも)の業績を支えている事業だ。おもに、ECサイト運営のコンサルティングを実施している。

 itsumo.(いつも)は、新規事業としてライブコマース、ソーシャルコマースなど新しい領域を拡大していくことを計画している。

■株価下落を引き起こした2022年度計画

 itsumo.(いつも)の2023年3月期の売上高予想は143億円(前年比+23.1%増)、営業利益+1.6億円(前年比△74.1%減)の増収減益を計画している。この業績予想発表により、株価は上場来安値を更新している。

 成長戦略として5年間で5倍の成長を目指す「いつも.5x」という目標をかかげているものの、株価が下落するなかで今期は増収減益で合理的な説明がないことに失望が生まれた形だ。itsumo.(いつも)のECマーケットプレイスはサブスクリプション型ビジネスモデルではないため、広告宣伝費などを投入して顧客を増やして、数年後に爆発的に利益が増加するという利益モデルではない。このまま事業規模は大きくなるものの、低収益をつづけるのではという不信感が高まっている状況だ。

■itsumo.(いつも)の株価は?

 itsumo.(いつも)の時価総額は約50億円。将来的に営業利益率が10%を超えるのであれば割安であるものの、ECマーケットプレイスは在庫リスクもあり、それほど儲かるビジネスではないような気がする。

 ECサイトの運営代行だけであれば理解できるものの、ブランドをM&Aして自社で製品開発・販売をするには事業センスが必要で、すでに運営している10数社のなかからヒットが出るか次第となる。当面は様子見が無難ではないだろうか。

(画像1)itsumo.(いつも)の下落する株価推移

以 上

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