マンガアプリ「ゼブラック」展開のLink-U(4446)、リカーリングビジネスで安定成長つづく!

 マンガアプリをはじめとした「電子書籍」「動画配信」分野のビジネスを展開しているLink-U(リンクユー)。サーバープラットフォームビジネスという独自のビジネスモデルで、サーバー開発、アプリケーション開発、そして運用をワンストップで提供できることを武器に事業の拡大をつづけている。競合他社としてはand factoryが同じように出版社などからの受託事業としてマンガアプリ事業を展開している(and factoryと共同で展開しているアプリもある)。スマートフォンなどで気軽に閲覧できるマンガアプリは市場が拡大しているものの、激しい競争の真っただ中。Link-Uの行方は?

■基本情報(2020年9月11日時点)

  • 株価:2,105円
  • 時価総額:294億円
  • 予想PER:102.0倍
  • PBR:15.73倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:87.5%
  • 会計基準:日本基準

■Link-Uの業績は?

 Link-Uの2020年7月期の第三四半期の売上高は9.3億円(前年同期比+14.0%)、営業利益は2.7億円(前年同期比△26.8%)と増収減益となった。決算説明資料を見たところ、増収については「リカーリング売上:既存サービスの伸びが想定超」と説明されているものの、減益になった理由は記載されていない。

 マンガアプリは「めちゃコミック(アムタス)」「まんが王国(ビーグリー)」「LINEマンガ(LINE)」など上場企業が力をいれている分野であり、はげしい競争が起こっている。少しでもシェアを拡大するため、キャンペーンやテレビCMなどの広告宣伝を積極的に行ったことによる影響と推測している(販売費・一般管理費が前年同期比で1億円ほど増加している)。

 Link-Uの売上高はリカーリング(継続課金と収益分配)と初期開発・保守の2つにわかれている。継続課金(サブスクリプション)と収益分配(レベニューシェア)であるリカーリングビジネスは予算(計画)を超過しているものの、初期開発・保守が大きく未達。その未達の要因としては、NHK出版語学サービスのずれ込みが要因だ。そのNHK出版とは収益分配方式(レベニューシェア)で契約をしている。

■Link-Uのビジネス内容・ビジネスモデルは?

 Link-Uは、どのようなビジネスを展開しているのだろうか?現在のところはマンガアプリが主要なビジネスとなっている。マンガアプリのビジネスには、自社コンテンツ型と他社コンテンツ型の2つにわかれる。Link-Uは他社コンテンツ型に属しており、and factoryが競合にあたる。いっぽう、自社コンテンツ型としては、「めちゃコミック」のアムタス(親会社は上場しているインフォコム)、「まんが王国」のビーグリー、「マンガbang」のAmazia、「Renta!」のパピレスなどがある。

 他社コンテンツ型であるLink-Uは、集英社のパートナーとしてマンガアプリ「ゼブラック」のサービスを展開したり、小学館の「マンガワン」のサービスを提供している。これらのマンガアプリは、パートナー企業である出版社が著作権を管理し、Link-Uは継続課金または収益分配の形で収益を稼ぐビジネスモデルとなっている。

 Link-Uはパートナー企業と展開しているマンガアプリの利用者を増やそうと、キャンペーンやテレビCMを放映しており、その広告宣伝の費用が収益を圧迫しているのが現状だ。もっとも心配されるのは、マンガアプリの成長性だ。すでにスマートフォンでのマンガ閲覧は浸透しており、紙から電子書籍の移行は文字モノや雑誌よりも先行している。

 and factoryは2020年9月11日のプレスリリースで8月のマンガアプリの月間アクティブユーザー数1,000万人突破と公表。and factoryは「マンガUP!」(スクウェア・エニックス)、「マンガPark」(白泉社)、「マンガMee」(集英社)、「サンデーうぇぶり」(小学館)、「マンガTOP」(日本文芸社)などの8つのマンガアプリの合計での1,000万人突破している。

■気になるマンガアプリの将来の成長性

 and factoryは月間アクティブユーザー数が1,000万人突破したものの、マンガアプリの売上高は年間25億円前後にとどまる。しかも、営業利益は広告宣伝費の増加により減少傾向がつづいている。Link-Uの売上高はand factoryの約半分。ここ数年のマンガアプリ市場の拡大が早過ぎて、この1~2年のあいだでマンガアプリ市場の成長鈍化が起こるのではないか予想している。

 いくつかのマンガアプリについては、Link-Uとand factoryは出版社を加えて共同で事業をおこなっている。and factoryの営業利益の減少をみると、Link-Uの先行きも心配される。いまのところ、業績は右肩あがりであるものの、年間の売上高が13億円程度と事業規模の拡大がこのまま続くのか、慎重に事業の動向を見る必要がある。

■Link-Uの株価推移は?今後の株価の行方は?

 Link-Uの現在の株価は堅調だ。現在の時価総額は294億円、予想PERは102倍。成長企業に予想PERをそのまま当てはめることは適切ではないので、これから数年先の成長性を予想することが必要だ。マンガアプリだけを考えると、Link-Uの株価は割高であるものの、新規事業への期待が織り込まれていると思われる。

 たとえば、ByteDance(TikTok運営)とマンガ事業でのレベニューシェアによる独占的業務提携を締結している。そのほかにも、音楽新規事業、採用管理マーケテイング事業などを発表している。Link-Uはこの1年でベンチャー企業への出資を加速。財務諸表をみると、「投資その他の資産」が1年間で4億円増加している。いまのところ、マンガアプリ以外での稼げるビジネスはでていないが、これから柱となる事業が育つ可能性は十分ある。なお、競合であり、ビジネスパートナーであるand factoryの時価総額は91億円とLink-Uの3分の1にとどまる。

(画像5)Link-Uの株価推移、上昇トレンドがつづく

以 上

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