デジタルマーケティングツールの「Cloud CIRCUS（クラウドサーカス）」の印象の強いスターティアホールディングス（以下、スターティアHD）。業績が急激に伸びているが、マーケティングツールではなく、ネットワーク機器の販売・施工・保守などのシステムインテグレーションを中心としたITインフラ事業が業績を牽引する。スターティアHDの業績と株価の行方は？
「Clould CIRCUS(クラウドサーカス)」のスターティアHD、テレビCM効果の行方は？（2021年3月6日投稿）
■基本情報（2023年3月3日時点）
- 株価：1,352円（10年来高値：2,180円）
- 時価総額：138億円
- 予想PER：12.6倍
- PBR：2.32倍
- 予想配当利回り：2.51%
- 自己資本比率：48.2%
- 会計基準：日本基準
- 株主数：3,278人（2022年9月30日時点）
■スターティアHDの業績は？
スターティアHDの2023年3月期の第三四半期の売上高は147億円（前年同期比+35.5%増）、営業利益12.1億円（前年同期は△40百万円）の増収黒字転換。スターティアHDの売上総利益率は+41.3%（前年同期は+43.3%）、営業利益率は+8.2%（前年同期は赤字）と売上総利益率は若干悪化しているものの、営業利益が大幅に改善している。
スターティアHDの売上総利益は前年同期の47億円→61億円と約14億円の改善。いっぽう、販管費は47億円→49億円と+2億円のコスト増となったため、約12億円の営業利益の改善となった。売上規模が約４割ちかく増えているものの、販管費を抑制できたことが業績改善に大きく寄与している。
■スターティアHDの事業状況は？
スターティアHDは当初2022年5月13日に通期計画を、売上高180億円、営業利益７億円と公表。2022年9月30日に、売上高194億円、営業利益11億円と上方修正。2022年10月28日に売上高196億円、営業利益13億円と更に上方修正。2023年2月8日に売上高198億円、営業利益15.1億円と再び上方修正となった。
この業績の伸びを支えているのが、ITインフラ事業だ。ITインフラ事業だけで、2023年3月期の第三四半期の売上高は125億円、セグメント利益13.4億円を計上している。ストック売上は59.6億円（前年同期は39.7億円、+50.1%増）、フロー売上高は65.1億円（前年同期は49.5億円、+31.4%増）と両方とも大きく伸びている。中小企業のネットワーク機器などの導入が大きく増え、それに伴い保守サービス契約が伸びている。
ストック売上高は取引者数は約9,000社で変わっていないものの、売上高が大きく伸びているので、おそらく値上げをした影響ではないだろうか？
■デジタルマーケティング事業は？
スターティアHDのデジタルマーケティング事業は、クラウドサーカスというサービスだ。2023年3月期の第三四半期の売上高は22.7億円（前年同期は19.5億円）、セグメント損益は△1.9億円の赤字（前年同期は△2.7億円）となっている。クラウドサーカスはテレビCMを年間約12億円ほど計上しており、サブスクリプションモデルであることを考えると、将来的には大きな利益を生む可能性が高い。
現在はITインフラ事業で利益を稼ぎ、デジタルマーケティング事業に投資をしている構造だ。ライセンス数は2022年12月末で5,793ライセンスと前年同期の5,289ライセンスから+9.5%増となっている。
■スターティアHDの財務状況は？
スターティアHDの2022年12月末時点の財務状況をみると、現預金は38億円。有利子負債は約27億円となっている。財務的には健全だ。無形固定資産にソフトウェア中心に17.5億円あり、将来的に償却費をカバーできるかどうかがキーになる。
■スターティアHDの株価推移は？
スターティアHDの時価総額は約140億円。2021年7月に株価は大きく上昇したものの、そこから株価は４分の１くらいまで下落し、現在は４分の３くらいまで回復している状況だ。ITインフラ事業が好調であり、将来的にはデジタルマーケティング事業の広告宣伝費の年間12億円ほどがなくなれば、営業利益は20～25億円くらいは計画できそうだ。
スターティアHDは1996年2月設立の老舗企業。従業員数は連結ベースで925名（2022年12月末時点）。テレビCMの影響でクラウドサーカスが目立つものの、安定してITインフラ事業で稼ぐ会社だ。
以 上