12万人の医師専用コミュニティサイト「MedPeer」や企業向けの産業保健支援サービス「first call」などを展開するメドピア。「集合知により医療を再発明する。」をかかげ、メドピアの創業者である石見社長は医師でもある。新型コロナウイルスの影響によりリアルビジネスが停滞するなか、新しいビジネスモデルをもった医療関連銘柄の株価はメドピア含めて好調がつづく。エムスリー、メドレー、ケアネットともに2020年1月のコロナショック前を上回る株価をつけている。いつまで医療関連銘柄の株価の上昇トレンドはつづいていくのか?
■基本情報(2020年9月11日時点)
- 株価:4,325円
- 時価総額:926億円
- 予想PER:142.4倍
- PBR:18.15倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:79.0%
- 会計基準:日本基準
■追い風が吹くメドピア、業績は絶好調!
医師専門コミュニティサイトを運営しているメドピア。2020年9月期の第三四半期の売上高は36.6億円(前年同月比+62.8%)、営業利益は7.3億円(前年同月比+92.2%)と大幅な増収増益となった。決算発表とあわせて、2020年9月期の業績予想を上方修正している。売上高はそれほど変わっていないものの、売上の構成の影響により、薬剤評価掲示板やWeb講演会など利益率の高い売上構成が増えたことが要因と説明している。
メドピアの売上高に関しては、2020年1月より連結子会社化したコルボ(医薬品・医療機器のコンテンツ制作関連の会社)の影響がプラス5億円ほど生じている。そのコルボ連結の影響を除いても、メドピアの売上高は順調に増加している。
■メドピアの事業内容は?
メドピアの事業内容を知っている人はそれほど多くないだろう。一般消費者とあまり関わらないビジネスを展開していて、企業名を見かけることがないからだ。メドピアの事業のひとつに、医師専用コミュニティサイトの「MedPeer」があり、国内の医師3人に一人にあたる12万人が使用しているサイトだ。このサイトをベースに、製薬会社・医療機器メーカー向けにマーケティング支援のサービスを展開している。リサーチ会社や人材紹介会社との橋渡しも展開している。
メドピアは、薬剤師専用コミュニティサイトとして「ヤクメド」を展開している。「MedPeer」が医師向けだとすると、「ヤクメド」は薬剤師バージョンだ。薬剤師同士の情報交換のための「薬剤評価掲示板」(医師の処方意図を知る)や「調剤事例集」などで薬剤師が抱える疑問や悩みを解決するコミュニティサイトを展開している。その他にも、かかりつけ薬局化支援サービス「kakari」を展開。オンラインでの服薬指導支援として2020年4月よりビデオ通話機能がリリースされている。「kakari」では、「電子お薬手帳」の機能やチャットによるお薬相談などの機能を搭載している。
一般企業向けの産業医向けの市場を開拓するため、産業保健支援サービス「first call」を展開している。日常的な医療相談からストレスチェック、産業医面談までサポートできるサービスだ。一般企業の従業員へのヘルスケアサポートを後押しするサービスとなっている。
■メドピアの株価推移は?今後の株価の行方は?
メドピアの株価推移を見ると、2020年初めのコロナショックで急落したものの、新型コロナウイルスの影響による追い風により株価は急騰をはじめている。メドピアの現在の時価総額は約900億円。独自のビジネスモデルを構築し、しっかりと利益を出せている企業に対して投資家の評価は高い。投資家が重視する高成長と高収益の2つをバランスよく保っていることが株価にも反映されていると言えるだろう。
ただし、ここ最近の事業の順調な成長を考慮しても、株価は少し割高な方向にふれている。ここから買いで入るのは少し慎重になったほうが良いかもしれない。新しいビジネスモデルをもった医療関連銘柄はどこも高騰しており、エムスリーの時価総額は4.1兆円(予想PER:153倍、PBR:25倍)、新興企業であるメドレーは1,380億円(予想PER:306倍、PBR:34倍)と高く評価されている。時価総額がメドピアより小さいケアネット(時価総額:260億円)もコロナショックで落ち込んだ株価より最高6倍まで株価は高騰していた(現在は約5倍の水準)。メドピア含めて、ここから上昇するよりも、株価下落のリスクを考慮して取引を進める段階と考えるが、(想定に反して)更なる上昇はあるのだろうか。
以 上