フードロス削減に特化したプラットフォーム「Kuradashi」運営のクラダシ、今後の行方は?

 ソーシャルグッドマーケットというフードロス削減を狙ったプラットフォーム「Kuradashi」を運営しているクラダシ。まだ食べられるにもかかわらず捨てられる可能性がある食品をお得に販売するサイトを運営している。パートナー企業は1,637社(2023年12月末時点)で、コカ・コーラ、吉野家、ロッテ、グリコ、ダイドー、松屋、ドトール、サッポロ、ロート製薬など名だたる大手企業も参加している。今後の業績と株価の行方は?

■基本情報(2024年3月1日時点)

  • 株価:314円(10年来高値:879円)
  • 時価総額:34億円
  • 予想PER:42.2倍
  • PBR:3.25倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:69.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:6,003人(2023年6月30日時点)

■クラダシの業績は?

 クラダシの2024年6月期の第二四半期の売上高は13.6億円(前年比△7.2%減)、営業利益17百万円(前年同期は△1.5億円の赤字)と減収黒字転換となった。クラダシの売上総利益率は+49.1%(前年は+44.0%)、限界利益率は+27.6%(前年は+23.7%)。

 クラダシの売上総利益は前年の6.4億円→6.7億円と+0.3億円の改善、販管費は前年の7.9億円→6.5億円と△1.4億円の改善となり、営業利益は+1.7億円の改善となり営業利益は黒字となった。

■クラダシの事業モデルは?

 クラダシはフードロス削減を目指して事業運営している。メーカーや食品卸、小売店などから廃棄予定の食品などを安く仕入れて、ECで販売しており、1.5次流通と言っている。パートナー企業数は1,637社とどんどん増えいているのが特徴だ。

 「kuradashi」の会員数は51.5万人と加速的に増えている。「kuradashi」は旅行会社や航空会社などで使われているダイナミックプライシング(蓄積データ)による需要予測などで販売価格を設定し、フードロスがでないように運営している。

■kuradashiを見てみて

 実際に「kuradashi」のサイトをみると、さまざまな食品が販売されている。サイトの特徴としては、定価(参考小売価格)からの割引額が明確にわかるようになっており、お得度が実感できる。また、価格のなかに寄付(支援金額)が含まれており、社会貢献に参加している意識を持つことができるのが特徴だ。

 フードロス削減のため賞味期限がかなり近いものが販売されていると思いきや、それほど直近の賞味期限ではないものも少なくない。ただ、配送料が1件あたり550円かかるため、その金額を考えると、それほど割安感は感じない。

■クラダシの財務状況は?

 クラダシの2023年12月31日時点の財務諸表をみると、現預金は10.6億円、商品は1.7億円、無形資産1.1億円。負債は、有利子負債が約0.5億円。その他は目立った負債はない。財務的には健全だ。

 キャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+72百万円、投資CFは△38百万円、財務CFは△25百万円。

 クラダシは2023年6月30日に東証グロースに上場。上場時の時価総額(初値)は86億円。上場にともない、市場から約7億円を調達している。

■クラダシの株価推移は?

 クラダシの時価総額は約35億円。2024年6月期の業績予想は売上高35億円(前年比+20.3%増)、営業利益45百万円を目指す。正直、第二四半期を終えて、目標とする売上高は厳しいのではないだろうか。

 時価総額が20億円くらいまで下がってきたら投資する安心感はあるものの、本当に伸びるのか疑心暗鬼だ。「kuradashi」をみるかぎり、食品メーカーなどの販売ルートの1つとして使われており、フードロス削減との関係が見えにくい。配送料550円を考えると、Amazonや楽天などのほうが安いかもしれない。

 クラダシの2023年6月末時点の従業員数は39名、平均年齢35.1歳、平均年収685万円。けっして社会貢献だけの会社ではなく、従業員の給与も悪くない。

(画像1)クラダシの株価推移

以 上

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