「MARKLESS STYLE」などオリジナル雑貨のトランザクション、好調なEC事業と卸売!

 自社ECサイト「MARKLESS STYLE」や「販促 STYLE」などでオリジナル雑貨や新型コロナ対策製品(マスク、除菌アルコール等)、防災グッズなどを製造・販売しているトランザクション(TRANSACTION)。BtoC(小売)よりもBtoB(卸売)のほうが売上比率が高く、ほかのECサイトのベルーナ、スクロール、ロコンドなどよりも営業利益率が高い利益構造になっている。トランザクションの株価と業績の行方は?

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■基本情報(2021年10月8日時点)

  • 株価:1,106円(10年来高値:1,530円)
  • 時価総額:325億円
  • 予想PER:15.6倍
  • PBR:2.91倍
  • 予想配当利回り:1.98%
  • 自己資本比率:80.6
  • 会計基準:日本基準

■トランザクションの業績は?

 トランザクションの2021年8月期の第三四半期の売上高は131億円(前年同期比△8.3%減)、営業利益23.4億円(前年同期比+5.0%増)の減収増益となった。トランザクションの売上総利益率は+39.3%(前年同期は+38.1%)、営業利益は+17.9%(前年同期は+13.5%)と営業利益率10%を超えている。減収の大きな要因は、昨年の新型コロナ対策商品(マスク、アルコール消毒など)の特需の反動であり、オリジナル雑貨は前年比でも好調だ。

 一般消費者向けにECサイトを展開しているベルーナ、スクロール、アイケイ、ロコンド、ヒラキなどは売上総利益率が35%~50%でトランザクションと同じレベル感であるものの、販管費の負担が重く、どの企業も営業利益率は10%未満となっている。荷造発送費と広告宣伝費の販管費比率が高く、営業利益率10%を超えるのはきわめて厳しい利益構造となっている。

 いっぽう、トランザクションは企業向けの卸売が8割以上を占めており、荷造発送費と広告宣伝費の負担が軽い。そのため、売上総利益率は同じレベルであるものの、営業利益率は20%近い水準となっている。

■トランザクションの事業内容は?

 トランザクションはオリジナル雑貨を中心に企画・製造・販売している企業。自社工場は持たず、外注先に製造を委託している。電子タバコ(vape)の小売の直営店(vape studio)の実店舗は2020年2Q時には10店舗持っていたものの、現在は5店舗まで縮小している。

 トランザクションはエコバックや新型コロナ対策商品(マスク、アルコール消毒など)を販売しており、コロナ禍が追い風になっている面もある。「プラスチック資源循環促進法」などを背景に、スプーンやストローなども繰り返し利用できるステンレスや紙を取り入れた商品を販売している。

 コロナ禍で高まるペット需要を背景に、オリジナルブランドのリード・ハーネス・首輪・レインコートなどペット商品も2020年12月から販売している。

 大規模な自然災害時の対応として防災需要に対する商品も販売している。スマートフォン向けのモバイルバッテリーやコンパクトラジオ、懐中電灯なども企画・販売している。

■トランザクションのビジネスモデルは?

 トランザクションは自社で企画し、中国(青島、上海、深セン)の3つの拠点で製造している。製品の印刷・加工・内職などは自社工場を2019年7月に設立。内製化比率を高めて、利益率を改善している。

■トランザクションの株価推移は?

 トランザクションは年間売上高170億円、営業利益28億円という収益性の高いビジネスモデルであるものの、時価総額は約330億円にとどまる。BtoCを中心としたECサイトと同じように扱われているかもしれないが、BtoBを中心とした企業であり、利益率が大きく異なる点に注目が集まっていない。

 トランザクションは自己資本比率が80%を超えており、配当余力が大きい。2021年10月5日に業績予想の修正と配当予想の修正(増配)を決定している。配当性向はだいたい30%ほどとなっており、配当性向50%くらいまで改善する余力は十分ある。まだまだ株価の上昇は期待できるかもしれない。

(画像1)トランザクションの株価推移

以 上

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