オンライン診療、スマート農業などAIやIoTなどを活用した最新技術をビジネスに織り込んで展開しているオプティム(OPTiM)。連結ベースの従業員数240名ほどの企業であるものの、オプティムの事業内容は多岐にわたり、個人投資家にとっては、いったい何をしている企業かわからない。オプティムの売上高は2017年3月期に33.1億円だったものの、2020年3月期には67.3億円と倍増。たった3年で売上高を急増させたビジネスとは?今後のオプティムの行方は?
■基本情報(2020年7月22日時点)
- 株価:3,385円
- 時価総額:1,866億円
- 予想PER:371.9倍
- PBR:62.76倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:64.5%
- 会計基準:日本基準
■オプティムの事業内容は?
AI・IoT・ロボティクスなどの分野でビジネスを展開するオプティム。オプティムはどのようなビジネスを展開しているのか。たとえば、オンライン診療プラットフォームという、オンライン診療・服薬指導システム(予約、ビデオ通話、遠隔指示、支払い等)を提供している。オプティム自身がオンライン診療のサービスを展開しているのではなく、オンライン診療サービス会社にシステムを提供しているのがオプティムだ。
もう一つは、「Optimal Biz」というテレワーク(リモートワーク)のパソコン、スマホ、タブレットなど各種デバイスの一元管理ができるサービスを展開している。国内市場シェアはNO1ですでに18万社以上が導入している。ここ10年くらいで企業の情報漏洩は大きな問題となり、在宅勤務やパソコン、タブレットの紛失によるリスクを避けるため、電子デバイスのセキュリティ管理が重要になっている。テレワークにおいても同様で、そのセキュリティをオプティムは支えている。
その他では、オプティムはカメラ関係のビジネスにも強く、「OPTiM AI Camera」では入店者数の予測、滞在時間分析、混雑予測・分析、空港内人数把握などさまざまな分野でAIカメラが活躍している。防犯セキュリティ分野や小売マーケティングなどさまざまな分野での横展開が期待されている。
■オプティムの業績は?
オプティムは創業以来20期連続となる過去最高益を達成。2020年3月期の売上高は67.3億円(前年比+23%)、営業利益は2.6億円と売上高は伸びているものの、利益がでていないように見える。しかしながら、2020年3月期の研究開発費を約19億円投資しており、先行投資が進んでいるのが現状だ。この研究開発費を半分にしていれば、営業利益は10億円を超えていた計算になる。
オプティムの予想PERは300倍を超えているものの、先行投資としての研究開発費に多く投資しているため、実際の実力は指標に表れていない。ただ、時価総額はすでに1,800億円を超えており、数年先の成長まで織り込んでいると考えることも可能だ。当面は株式市場の地合いの影響を受けて、上下に大きく変動する展開になりそうだ。オプティムという会社名を知らない人のほうが多く、個人投資家のなかで事業内容をしっかり理解して投資している人はそれほど多くないのではないか。
■オプティムの株価推移は?
オプティムの株価は上場来最高値圏に達している。ここから更に上昇する可能性もあるものの、時価総額はすでに1,800億円規模のため、いったん下方向に動く可能性も十分ある。オプティムはリモートワーク、遠隔診療など新型コロナウイルスの影響がプラスになる面が少なくない企業。現在は売上高100億円に到達していないものの、未来志向のビジネスであり、研究開発費などの投資を除いた実質的な営業利益率は高い。さらに注目を集める可能性も高い。正直、オプティムは株価の行方をまったく予想できない企業だ。
以 上