オンライン保険プラットフォーマーに、ライフネット生命の戦略!

 オンラインで生命保険を販売しているライフネット生命。2021年9月16日に海外募集で公募増資を実施し、約97億円を調達。2020年7月にも海外公募増資を実施して約81億円を調達している。米国のテーパリングがスタートし、株式相場が大きく下落する前に資金調達をしておこうという考えか。今回はオンライン保険プラットフォーマーを目指した投資資金という今までにない戦略の切り替えも見えてくる。

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■基本情報(2021年9月17日時点)

  • 株価:1,270円(10年来高値:1,785円)
  • 時価総額:885億円
  • 予想PER:赤字予想
  • PBR:5.87倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:27.2%
  • 会計基準:日本基準

■ライフネット生命の業績は?

 ライフネット生命の2022年3月期の第一四半期の売上高は59.4億円(前年同期比+25.7%増)、営業損失△9.2億円(前年は△6.5億円)の結果となった。ライフネット生命はサブスクリプション型のビジネスモデルのため、将来的な収益を拡大するために、現時点では積極的な先行投資をおこなっている。

 具体的にはテレビCMなどの広告宣伝費を大量に投入し、事業費として29.6億円をつかっている。加えて、新規保険に対して引当金にあたる責任準備金を計上する必要があり、15.3億円を計上している。この責任準備金はあくまで会計上の引当金であり、外部に流出するお金ではない。実質的には営業利益は責任準備金繰入額を除いた約6億円のプラスと見てもよいだろう。

■ライフネット生命の戦略は?

 ライフネット生命はマネーフォワードと提携し、「マネーフォワードの生命保険」を発売。また、保険商品の比較、見直し提案、契約管理など行う「ライフネットみらい株式会社」をmilize社と設立している(ライフネット生命は80%出資)。

 今回増資のターゲットであるオンライン生命保険プラットフォーム構想では、これまでなかった他社の商品・サービスもプラットフォーム上でつなぐ構想を発表している。自社で生命保険を発売しつつ、他社製品も扱うことが果たしてうまくいくのか注目が集まる。

 いずれにしろ、日本生命、第一生命、明治安田生命など巨大生保が大きな市場をにぎっている生命保険市場で、新しいことにチャレンジをして、オンライン化を促進することは、間違いなく将来的な企業価値の発展につながるだろう。

■ライフネット生命の株価推移は?

 ライフネット生命の時価総額は約900億円。責任準備金を除くと、年間の営業利益は約24億円ほどで、成長性を考慮すると妥当な企業価値ではないだろうか。2020年3月のコロナショック後からライフネット生命の株価は大きく上昇したものの、ライフネット生命が何か変わったのではなく、株式市場のお金の流れが大きく変わっただけ。

 ライフネット生命にかぎらず、半導体・クラウドITサービス企業への株価の上昇がはげしい。長期的にはライフネット生命の株価は上昇していくものと思うが、一時的に下落する可能性も少なくない。しかしながら、ライフネット生命は、営業黒字化、プライム市場への市場変更、いまで言うTOPIXへの組入需要、日経225への組入需要などイベントが多い。引き続き、注目したい企業のひとつ。

(画像1)ライフネット生命の株価推移

以 上

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