あらゆる業界の戦略、業務、ITの多分野でコンサルティングサービスを提供しているベイカレント・コンサルティング（以下、ベイカレント）。コンサルタントを積極採用した結果、前年対比でプラス30%の増収となった。新型コロナウイルスの影響によるリモートワーク（在宅勤務）など業務環境の変化に対応するため、デジタル・トランスフォーメーション(DX）のニーズが高まっており、ベイカレントはその業務改革導入のコンサルティング需要を取り込んでいる。ベイカレントの業績と今後の株価の行方はどうなるのか？
■ベイカレントの基本情報(2021年2月5日時点）
- 株価：17,580円（10年来高値：19,690円）
- 時価総額：2,732億円
- 予想PER：37.1倍
- PBR：10.37倍
- 予想配当利回り：0.65%
- 自己資本比率：63.8%
- 会計基準：IFRS
■ベイカレントの業績は？
ベイカレントの2021年2月期の第三四半期の売上高は305億円(前年同期比+30.6%増）、営業利益90.6億円(前年同期比+80.2%増）の増収増益となった。ベイカレントの売上総利益率は+45.6%、営業利益率は+29.7%と高い。
ベイカレントと言えば、2016年に東証マザーズに上場して３か月で業績予想の下方修正をしたことで有名だ。当時、話題になったのはベイカレントの、のれんの金額だ。ベイカレントの2021年11月末時点の、のれん残高は192億円。ベイカレントはIFRS（会計基準）を適用しているため、のれんの償却はない（日本基準であれば償却が必要）。2016年当時は、のれん減損による大赤字の心配がされたものの、いまになっては見事、会社を立て直したことになる。
■ベイカレントの事業内容は？
ベイカレントは「事業戦略」「海外進出」「M&A」「新規事業立ち上げ」など全般的な経営コンサルティングサービスを提供している。ベイカレントのホームページでは次のような事例が紹介されている。たとえば、「AI活用によるデジタルマーケティング推進」、「データサイエンティストの育成」などだ。日本のコンサルティング市場は2024年度まで年率4.0%で成長する見込みであるものの、デジタル関連に限定すると年率25%と速い速度で成長する見込みだ。ベイカレントとしてもDXコンサルティングに力を入れる意気込みが決算説明資料より伝わってくる。
ベイカレントの営業方法の１つとしては、ビジネス誌への寄稿や書籍の発行などで名前（企業名とコンサルタント個人名）を売る戦略だ。これは外資系の経営コンサルティング会社でも同様でネームバリューをあげて受注をとる戦略だ。顧客企業（クライアント）では、コンサルティング会社に戦略を練ってほしいだけでなく、自社の経営陣への説明時にネームバリューのある専門家（コンサルティング会社）の後押しがほしいケースも少なくない。
■力を入れるDX関連のコンサル案件！世の中の変化に対応
ベイカレントはDX関連に強いコンサルティングサービスを売りにしている。新型コロナウイルスの影響によりリモートワーク（在宅勤務、テレワーク）などでZoomやTeams（マイクロソフト）またOffice365などのクラウドサービスを使用するケースが出ており、導入にあたってITコンサルを必要とするケースも少なくない。ある程度の企業規模の会社がセキュリティを確保したリモートワークを推進できる環境を作るにはデジタル面に強い専門家のアドバイスが必要となる。
また、世の中の流れとしてDXやAI、そして遠隔診療、ビッグデータなど新しい分野への転換への雰囲気が熟成されている。製薬企業の医療情報担当者(MR)は病院への訪問が自粛要請され、Web講演会などのDXツールを活用した医薬品のPRが求められている。会議やライブ、イベントなどもオンライン化の動きが進んでおり、ベイカレントでは既存ビジネスのデジタル（オンライン）対応のニーズの取り込みに力を入れている。
■ベイカレントの株価推移は？
ベイカレントの株価推移は絶好調だ。現在の時価総額は約2,700億円であるものの、成長性と収益性を考えると割高感はない。中小企業のM&Aを仲介する日本M&Aセンターは時価総額が１兆円を超えて予想PERは100倍近い。日本M&Aセンターなど割高になった銘柄がある一方、ベイカレントはまだまだ上昇余地はある。ただし、新型コロナウイルスの影響による一時的な特需で受注が積み上がっている可能性もあるので、業績の伸びの鈍化がみられるときは注意が必要だ。
以 上