高成長のJTOWER(Jタワー)、将来像が見えないビジネスモデル!?

 建物の屋内に4Gや5Gのインフラシェアリング設備を導入するサービスを展開しているJTOWER(以下、Jタワー)。2021年2月5日に決算発表し、前年にくらべて+50%近い売上高の成長を見せた。ただ、業績見通しの上方修正が出ず、株価はどちらに動くかわからない。現在のJタワーの業績と株価を見ると、明らかな割高であるものの、将来的な成長を株価が織り込んでいる状況で上方修正なしの結果を市場がどうみるか蓋を開けてみないとわからない状況だ。

建物内の携帯通信インフラシェアリングのJTOWER(Jタワー)、成長と株価の行方は?(2021年1月17日投稿)

■基本情報(2021年2月5日時点)

  • 株価:11,100円(10年来高値:13,050円)
  • 時価総額:2,294億円
  • 予想PER:764.4倍
  • PBR:33.47倍
  • 予想配当利回り:0%(無配)
  • 自己資本比率:40.9%
  • 会計基準:日本基準

■Jタワーの業績は?

 Jタワーの2021年3月期の第三四半期の売上高は25.9億円(前年同期比+49.7%増)、営業利益2.9億円(前年同期比+16倍)と大幅な増収増益となった。Jタワーの営業利益率は+11.3%まで上昇。しかしながら、時価総額が約2,300億円の規模としては物足らない結果となった。Jタワーは東証マザーズ銘柄であり、そのなかでも売買高が高い銘柄のひとつ。1日の取引高(出来高)は15億円~25億円ほどある。

 Jタワーは高い注目を集めているものの、将来的な事業規模や収益構造が今のところ見えてこない。中期経営計画などで将来的な事業規模の見通しなども公表されていない。将来的な事業規模が見えないなかで期待だけが先行していないか心配になる。

■Jタワーの屋内インフラシェアリングの売上高推移は?

 Jタワーはインフラシェア売上高を公表しており、現在は全体の87%を占めている。屋内インフラシェアリングは大手通信キャリア(NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、楽天)の4社に対して、建物内のJタワーの設置した通信設備を利用してもらい収益をあげるもの。

 屋内インフラシェアリングの収益モデルは明確に記載されていないものの、Jタワーが設置費用とメンテナンス費用を負担し、その設備を利用する通信キャリアはJタワーに対して利用料を支払うものと思われる。その費用は月額利用料のようなサブスクリプション型(継続課金型)と思われるが、決算説明資料には明示されていない。

■Jタワーの競合他社は?

 Jタワーの競合他社はどこになるのか?通信工事大手の協和エクシオはインドネシアで屋内通信インフラシェアリングを展開しており、ライバルになりえると思われる。通信工事大手としてはコムシスホールディングスやミライト・ホールディングス、協和エクシオが大手3社であり、屋内インフラシェアリングへの事業展開が予想される。

通信工事大手の協和エクシオ、5Gによる需要拡大期待も!(2021年1月17日投稿)

通信工事大手のミライトHD、ローカル5G、ドローンなど新分野に期待!(2021年1月17日投稿)

■Jタワーの株価の行方は?

 Jタワーの時価総額は約2,300億円。いまは世界的な金融緩和と財政支出の影響でグロース株の適正株価が見えてこない。Jタワーの予想PERは700倍前後となっており、株価指標的にはきわめて割高な水準だ。ただ、数年後に年間50~70億円程度の営業利益を出せるのであれば、それほど割高ではないかもしれない。株価が下落トレンドに転じるまでは空売りも危険かもしれない。

(画像4)Jタワーの株価推移

以 上

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