通信インフラシェアリングのJTOWER(Jタワー)、堅調な成長も株価は下落トレンドに!

 4Gや5Gの通信キャリアが共有して使用できる屋内インフラシェアリングやタワー状の通信設備など通信インフラの開発・設置を展開しているJTOWER(以下、Jタワー)。業績は好調であるものの、売上規模35億円に対して時価総額は1,500億円と株式指標的には割高感の大きいJタワー。KDDIとの新たな資本業務提携を発表したものの、今後の業績と株価はどうなるのか?

高成長のJTOWER(Jタワー)、将来像が見えないビジネスモデル!?(2021年2月6日投稿)

■基本情報(2021年5月14日時点)

  • 株価:7,040円(10年来高値:13,050円)
  • 時価総額:1,466億円
  • 予想PER:366倍
  • PBR:21.2倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:42.6%
  • 会計基準:日本基準

■Jタワーの業績は?

 Jタワーの2021年3月期の売上高は35億円(前年比+36.9%増)、営業利益4.2億円(前年比+501%増)の増収増益となった。Jタワーの売上総利益率は+51.9%(前年は+50%)と通信工事会社としては非常に高い。売上高が+36.9%伸びているものの、販管費は12.1億円(前年)から14.0億円(今期)と+15.7%しか増えていないため、営業利益が大きく伸びた。

 Jタワーはインフラシェア売上という通信キャリア(ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天)との長期契約に基づく売上高を公表しており、全体の売上高に占める割合は89%の31.1億円。四半期ベースでみると、前年比+50%と高い成長となっている。JタワーのB/Sを見ると、長期前受収益が49.9億円計上されており、将来のインフラシェア売上に対して前受でお金を受け取っている。

 Jタワーは通信工事会社であるものの、売上高のほとんどがサブスクリプション型のインフラシェア売上となっているため、クラウドサービスのfreee(フリー)、ラクス、Sansan、マネーフォワードなどと同じように安定的に将来の売上高を積み上げていくビジネスモデルとなっている。これが高い時価総額を支えている大きな要因だ。通常の通信キャリアから通信工事を請け負うビジネスモデルとは全く異なる。

■KDDIとの資本業務提携に!

 2021年5月14日の決算発表にあわせて、KDDIとの資本業務提携を発表。具体的にはKDDIに第三者割当増資を行い、あわせて既存株主であるNTTにも同数の第三者割当増資をおこなうもの。結果、Jタワーは73億円の資金を得ることができる。この増資にともなう株価の希薄化は5%。

 KDDIとの業務提携としては、将来的な屋内外インフラシェア(屋内設備とタワー型設備)の推進など。つまり、KDDIとしては、Jタワーの通信設備の配置計画などを入手しておき、自社の通信設備の投資を効率的に進めたいということが大きな目的だ。KDDIの増資負担は約37億円。自社投資で37億円以上、効率的に5Gの通信設備の設置ができれば十分見返りのある提携となる計算だ。

 Jタワーにとっても、NTTだけでなく主要顧客であるKDDIとも関係を深めておくことはプラスにしかならない。そもそも、Jタワーは前受で売上高を受け取るビジネスモデルとなっているため、設備投資会社であるものの、資金繰りはかなり余裕がある。本来はKDDIに第三者割当増資を実施しなくても資金面では問題なかった。おそらく、KDDIからの要望ではないだろうか。NTTとしてはKDDIが出資することで持分比率が下がることを懸念して、あわせて同数の追加割当を受けている。それだけ、Jタワーのビジネスモデルに魅力があるということだ。

■Jタワーの株価の行方は?

 Jタワーの時価総額は約1,500億円。いまの業績だけをみると割高だ。ただし、間違いないのはJタワーの業績は右肩あがりで成長していくこと。インフラシェア売上高という長期契約の売上高は確実に成長しており、屋内外インフラシェアリングの設備の数は間違いなく増えていく。

 問題はいまの成長率を考慮した業績見通しと時価総額がマッチしていない点だ。2020年度はクラウドサービスやヘルスケアIT(エムスリー、メドピア、メドレー、ケアネット)などの成長企業の株価が高く評価された。Jタワーも同様で一時は上場時から6倍(株価2,260円→13,050円)まで評価された。将来的には通信工事大手の協和エクシオ、コムシスホールディングス、ミライト・ホールディングスに並ぶ企業になる可能性は高いが、右肩さがりのときに買いで入るのは危険。チャートがヨコヨコになってから購入しても遅くはない。

 どこかで中期経営計画が発表されれば、Jタワーの将来像が見えてくる。いまのところ、数年後の事業規模も見えていない状況だ。様子見が無難ではないか。

通信工事大手の協和エクシオ、5Gによる需要拡大期待も!(2021年1月17日投稿)

通信工事大手のミライトHD、ローカル5G、ドローンなど新分野に期待!(2021年1月17日投稿)

(画像1)Jタワーの株価推移、下落トレンドに

以 上

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