フォトウェディングのデコルテ・ホールディングス、全国21店舗展開!

 フォトウェディングや成人式フォトサービス「NALU(ナル)」などライフイベントの写真サービス事業を展開しているデコルテ・ホールディングス(以下、デコルテ)。2021年6月22日に東証マザーズに上場。従業員数は376名。今後はライフフォトカンパニーとして、入学式・卒業式、成人式、ペット撮影、結婚記念などライフイベントに即した領域展開を進めていく事業方針だ。デコルテの業績と事業内容は?

■基本情報(2021年10月8日時点)

  • 株価:1,190円(10年来高値:1,680円)
  • 時価総額:67億円
  • 予想PER:12.9倍
  • PBR:1.78倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:33.2%
  • 会計基準:IFRS基準

■デコルテの業績は?

 デコルテの2021年9月期の第三四半期の売上高は35.8億円(前年同期比+30.3%増)、営業利益8.5億円(前年同期比+190.2%増)の増収増益となった。前年は2020年4月~6月頃の緊急事態宣言などによる外出自粛要請(ステイホーム)があり、デコルテの事業に大きなマイナス要素となった。今回はその反動で業績が急成長(急反発)しているように見えるものの、前々年レベルに戻ったのが実情だ。

 デコルテの売上総利益率は+45.7%(前年同期は+42.3%)、営業利益率は+23.6%(前年同期は+10.6%)と改善している。競合他社のスタジオアリスは売上高424億円、営業利益50億円、売上総利益率+28.5%、営業利益率+11.8%であることを考えると、デコルテの収益力はかなり高い。

■デコルテの事業内容は?

 デコルテは近畿と関東を中心に撮影スタジオを21店舗もっている。「STUDIO AQUA」「STUDIO TVB」「STUDIO AN」などでウェディングフォトを中心としたスタジオになっている。人気のリゾート地の軽井沢に「STUDIO AQUA軽井沢店」を2021年7月にオープン。フォトウエディングの撮影組数はシェア1位、年間撮影組数2.4万組、フォトグラファー136名、メイクアップアーティスト146名となっている。

 婚姻組数に占めるフォトウエディング実施率は52.8%で専門業者の撮影実施率は25.1%とまだまだ伸びしろがある。フォトウエディングの市場は2018年度で約521億円と言われている。

 これまでリゾートウエディングやゲストハウスウェディングなどの集合型結婚式の勢いがすごかったが、新型コロナウイルスの影響で結婚式関連の事業は軒並みマイナス影響。そのなかでも影響をそれほど受けなかったのがフォトウエディング領域だ。

■理解しておくべきデコルテの沿革!

 デコルテの決算資料で目に入ったのはIFRS基準を採用していること。規模の小さい新興企業がIFRS基準を採用している多くのケースはファンド主導の上場である点。レバレッジドバイアウト(LBO)を活用して、企業自体が巨額の「のれん」と「有利子負債」を計上しているケースが多い。

 デコルテの財務諸表をみると、案の定、「使用権資産」26億円、「のれん」56億円、「借入金」36億円、「リース負債」20億円が計上されている。なお、「使用権資産」とはリース契約している固定資産だ。

デコルテの上場時の筆頭株主はキャス・キャピタル・ファンド六号が87.52%保有しており、創業者の小林社長は9.72%の保有に留まる。2017年1月にキャス・キャピタル・ファンド六号が子会社しており、小林社長は大半の持分を売ったと思われる。

 ここからはキャス・キャピタル・ファンド六号がいかに利益を上げるかという考えの結果、株式上場に至ったと思われる。デコルテは上場までに吸収合併や持ち株会社化などしており、その過程で有利子負債が増えていったと思われる。

■デコルテの株価の行方は?

 デコルテの時価総額は約70億円。予想PERは12.9倍と株価指標的には割安だ。ただし、IFRS基準は「のれん」を償却しないため、かりに56億円の「のれん」を10年間で償却する場合は年間5.6億円の費用増となり、予想PERは大きく変化することに留意が必要だ。

 日本基準を採用している企業とIFRS基準を採用している企業を同じモノサシで見ると正しい判断ができないので注意が必要だ。

 デコルテの事業領域は高付加価値の事業であるものの、競合が増えれば価格低下が起こる。また、結婚式を運営する企業の収益が悪化しており、価格低下が起こりやすい状況である点にも注意が必要だ。フォトウエディングはホテル、結婚式場など競争の激しい領域であり、デコルテの優位性がどこまで維持できるか要注意。2019年9月からIFRS基準を採用しており、実質的に減益基調になっていないか慎重に四半期決算を追う必要がある。

(画像1)デコルテの株価推移

以 上

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