航空機・船舶などのリースファンドを活用したサービス提供のSBIリーシングサービス!

 航空機・船舶などの日本型オペレーティングリース事業ファンドを組成・販売しているSBIリーシングサービス(以下、SBIリーシング)。JOL(Japanese Operating Lease)やJOLCO(Japanese Operating Lease with Call Option)などの手法で、タックスマネジメントと呼ばれる企業の法人税繰延をサポートする価値を提供している。SBIリーシングの事業内容や業績はどうか?

■基本情報(2023年9月22日時点)

  • 株価:2,273円(10年来高値:3,960円)
  • 時価総額:176億円
  • 予想PER:6.3倍
  • PBR:0.96倍
  • 予想配当利回り:1.31%
  • 自己資本比率:33.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:3,151人(2023年3月31日時点)

■SBIリーシングの業績は?

 SBIリーシングの2024年3月期の第一四半期の売上高は129.4億円(前年比+36.1%増)、営業利益10.7億円(前年比△13.3%減)の増収減益。SBIリーシングの売上総利益率は+13.7%(前年は+20.5%)、営業利益率は+8.3%(前年は+13.0%)と利益率は悪化している。

 SBIリーシングの売上総利益は前年の19.5億円→17.8億円と△1.7億円の悪化、販管費は7.1億円→7.0億円と△0.1億円の改善となり、差し引きで営業利益は12.4億円→10.7億円と△1.7億円の悪化となった。

 売上高が増えているものの、売上総利益(粗利)が悪化している理由は明記されていないものの、売上高の内訳のJOL商品(いわゆる現物投資)とJOLCO商品(いわゆる金融商品への投資)の構成差が利益率につながっていると予想する。具体的には、JOLCOのほうが利益率が高く、JOLCOの構成比が高くなったことが利益悪化の要因と思われる。

■SBIリーシングの事業領域は?

 SBIリーシングはどのような事業を展開しているのか?通常の大手のリースサービスではなく、航空機・船舶などの大型の案件について、金融知識を活用して、金融商品として販売している。

 具体的には、JOLと呼ばれる方法で、任意組合を組成し、その任意組合が航空機や船舶などを顧客にリースする。その任意組合に出資者(投資家)を募り、SBIリーシングは出資者への販売手数料、任意組合へのリース物件の売却額などを売上計上する。

 もう一つは、JOLCOと呼ばれる方法で、匿名組合というSPC(ファンド)を組成し、リースを小口化して投資家に販売するもの。SBIリーシングはファンドの管理手数料や小口化の販売手数料で売上高を計上する。

■リースの販売先は?

 SBIリーシングのリース先はどのような企業か?具体的には、デルタ航空、エールフランス航空、アメリカン航空などの航空会社。また、コンテナ船大手のマースク、LNG船舶大手のBW LNG、商船三井などの海運大手となっている。

■2017年4月設立の新会社

 SBIリーシングは2017年4月設立の新しい会社。経営陣をみると、ほぼ野村證券の出身者で、野村証券子会社である野村パブコックアンドブラウンという航空機リース会社の人がそのまま経営陣に名を連ねている。

 SBIグループは野村証券の出身者が多く、ほぼ野村証券でつちかったノウハウをSBIリーシングに生かしていると思われる。

■事業の行方は?

 航空機や船舶リースについては、コロナなどの世界的なヒト・モノの動きが活発になるかどうかにかかっている。将来的には、ヒトの移動はより活発になる思われるし、航空機の買い替え需要は止まることはないだろう。また、コンテナ船などの需要も波はあるものの、減っていくことはないのではないだろうか。

 リスクとしては、金利、為替が大きい。現状は円安に振れており、リース物件はドル建てで購入するのが基本。円高のときに購入して、任意組合などを円安のときに販売すると利益が大きいものの、円安→円高になると逆ザヤになる可能性が高い。

■SBIリーシングの株価の行方は?

 SBIリーシングの時価総額は約180億円。年間売上高398億円、営業利益46億円、営業利益率+11.6%という規模感の会社にしては時価総額が低すぎる。株価が下がっている要因としては、2022年10月に東証グロースに上場し、まだ上場してから1年たっていないなかで、直近の決算の営業利益が前年割れしている点だ。

 この営業利益が前年割れしている理由は、JOLとJOLCOの構成差が理由と推測する。一時的な構成の要因であるのかわからないものの、黒字であり、この規模感の利益を出している企業としては割安なイメージがある。

 現在の業績予想では、1株あたりの当期純利益(EPS)は360円。予想PERを成長性を加味して、15~20倍で考えると、予想株価は5,400円~7,200円くらいになる。現在の株価2,300円を考えると割安感が大きい。同じようなビジネスをしているジャパンインベストメントアドバイザー(JIA)は時価総額550億円(売上高193億円、営業利益50億円)となっている。

九州リースサービス(8596)、安定的に利益を稼ぐ!(2020年5月6日投稿)

(画像1)SBIリーシングの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする