油圧クレーン大手の加藤製作所(KATO)、業績回復の行方は?

 油圧クレーン大手で、ショベルカーなども製造販売している加藤製作所(KATO)。ときどき、KATOとロゴの入ったクレーン車などを見ることもある。その知名度にくらべると、時価総額は低く160億円程度となっている。ここ数年は中国事業で苦戦してきたものの、会社の清算なども目途が立った。

■基本情報(2025年7月25日時点)

  • 株価:1,356円(10年来高値:3,800円)
  • 時価総額:160億円
  • 予想PER:12.8倍
  • PBR:0.34倍
  • 予想配当利回り:5.16%
  • 自己資本比率:43.4%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:8,349人(2025年3月31日時点)
  • 事業価値:449億円

■加藤製作所の業績は?

 加藤製作所の2025年3月末の売上高は529億円(前年比△7.9%減)、営業利益9.0億円(前年は+16.5億円)の減収減益となった。加藤製作所の売上総利益率は+16.2%(前年は+18.3%)、営業利益率は+1.7%(前年は+2.9%)と低い水準となっている。

 加藤製作所の売上総利益は前年の105億円→86億円と△19億円の減少、販管費は前年の89億円→77億円と△12億円の抑制となったものの、差し引きで営業利益は7億円の悪化となった。事業規模が小さくなり、販管費の削減が追い付かなかった計算になる。

■加藤製作所の事業状況は?

 加藤製作所は建設用クレーン、油圧ショベルなどを日本国内、海外に販売している会社。海外売上高比率は28%前後で推移している。売上高529億円のうち、382億円の72%が日本国内で、残りの147億円が海外向けとなっている。まだまだ、7割が日本国内の需要のため、グローバルな需要を取り込めているかというと、そういう状態ではない。海外向けではアジア、欧州、北米で約9割を占める。

 建設用クレーンが全体の約6割、中型の油圧ショベル等が39%を占める。中国子会社の業績が悪化しており、2025年5月公表資料で中国事業の見直し・整理損の計上などを発表し、中国2社の子会社の解散・清算を意思決定している。

■加藤製作所の期待値は?

 建設用クレーンは景気循環して需要は戻ってくることは間違いなく、どこかのタイミングで加藤製作所の業績は回復するだろう。しかしながら、有利子負債も約430億円あるため、時価総額160億円に対して、事業価値は450億円くらいで評価される。

 そうすると、事業価値が2倍~3倍に騰がるイメージはいまのところ出てこない。加藤製作所は量産型の事業をしており、受注残高の公表をしていない。日本国内がメインの会社であり、これからビルなどの建設が急激に増えていくとなると、オリンピック前に建機の大きな需要は一旦終わったようにも見える。中期的には海外比率40%を目指し、インドで事業を展開し、アジア・中東向けへの展開を視野にいれている。

■加藤製作所の株価推移は?

 加藤製作所の時価総額は約160億円。長期間の株価チャートをみると、そろそろ底値から上昇トレンドになってもおかしくないような気がする。ただ、株価の上昇が数年~10年くらいかけて、ゆるやかに上昇していく可能性があり、どの時間軸で株価上昇のリターンを考えるか論点となる。

 予想配当利回りも5%前後と高いため、長期で株価を持つにはよいかもしれない。いっぽう、短期的な期待を求めている場合は、他の銘柄も選択肢になるだろう。

以 上

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