フリマアプリのメルカリ(mercari)、上場来高値を更新、営業黒字継続!

 日本とアメリカでのフリマアプリ(マーケットプレイス)事業とモバイル決済事業のメルペイを展開しているメルカリ(mercari)。2021年2月4日に決算を公表して数日は株価は低迷したものの、2021年2月10日から株価は大きく上昇。上場当初の高値6,000円を一気に突破した。当面は株価は高値を追う動きとなるだろう。メルカリの業績と株価の行方はどうなるのか?

スマホ向けフリマアプリ国内首位のメルカリ(4385)、今後の株価は?(2020年5月17日投稿)

■基本情報(2021年2月12日時点)

  • 株価:6,160円(10年来高値:6,230円)
  • 時価総額:9,674億円
  • 予想PER:-(未定)
  • PBR:26.92倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:15.5%
  • 会計基準:日本基準

■メルカリの業績は?

 メルカリの2021年6月期の第二四半期の売上高は482億円(前年同期比+46.1%増)、営業利益13.7億円(前年同期は△139億円の赤字)と大幅な増収と黒字転換となった。メルカリの売上総利益率は+75.0%(前年同期は+71.3%)と高い。メルカリは2020年7月に無料ネットショップ作成支援サービスを提供しているBASEの所有株の売却により特別利益(投資有価証券売却益)+69.4億円を計上している。

 メルカリ(日本)は前年同期にくらべて+28%の流通総額増、メルカリ(米国)は前年同期比で+107%と大幅に増加している。メルカリはセグメント別の損益を公開しておらず、メルカリ(日本)のみ営業利益を公開している。それらを組み合わせると、メルカリ(日本)で稼ぎ、メルペイとメルカリ(米国)で赤字になっていると思われる。

■売上高・営業利益ともに過去最高!

 メルカリの四半期ベースでの売上高は260億円と過去最高を更新した。営業利益の推移をみると、四半期ベースでも+10億円と赤字体質から脱却している。

■好調なメルカリ(日本)の状況は?

 メルカリ(日本)は好調だ。売上高(四半期ベース)は過去最高190億円、営業利益は+61億円となった。フリマアプリではメルカリがダントツで流通総額トップと思われる。競合では楽天の「ラクマ」、Zホールディングスの「PayPayフリマ」だ。「ラクマ」の手数料は6.6%、「PayPayフリマ」は5%、メルカリは10%と最も高い。

 メルカリのフリマ事業で心配されるのは、新型コロナウイルスの影響による一時的な利用増、そして2021年4月以降の前年比での成長率の鈍化だ。ネットショップなどの巣ごもり消費は2021年4月以降に本格化し、ネットショップ作成支援サービスを展開しているBASEは前年比で流通総額は倍増した。2021年1月~3月は問題ないかもしれないが、2021年4月以降の決算資料では成長率は鈍化して見える可能性が高い。

■NTTドコモ(docomo)との業務提携の取り組み!

 メルカリはNTTドコモ(docomo)との協業を進めている。メルカリとドコモのdアカウントを連携させる取り組みを行っている。2020年12月末までにドコモとのID連携数は480万となっており、今後はドコモショップとの業務提携をさらに進めていく予定だ。 メルカリは財務状況はそれほど良い状態ではない。現在の自己資本比率は15%程度。

 メルペイ事業を行っており、負債である「預り金」が約1,000億円計上されている。その「預り金」の影響を除くと、実態の自己資本比率は28%前後となる。有利子負債は600億円ほどかかえており、メルペイの定額払い債権「メルペイスマート」の債権流動化を積極的におこなっている。2020年7月には500億円を流動化、今回300億円の流動化を発表している。メルカリは債権流動化の具体的な内容について開示していないため不明点ばかりであるが、債権の売却または担保にすることで資金を調達している。

 

■メルカリの株価の行方は?

 メルカリの時価総額は1兆円近くなった。すでに将来の成長性で説明できないレベルまで株価は上昇している。たしかにメルカリ(米国)の成長の期待などあるものの、それでも株価は買われ過ぎの水準だ。しかしながら、2021年2月12日に上場来高値を突破したため、株価は当面、下がりにくい。さらに上値を目指していくと思われる。

 メルカリはNTTドコモと関係を深めているため、メルペイ事業については売却の話が出てくるかもしれない。もしくは、NTTとしてメルカリの連結子会社化などを目指す展開も想定される。NTTにとってメルカリ取得のための数千億円の投資はむずかしくないが、(メルカリの時価総額を)合理的な購入価格と考えるかどうかだ。NTTドコモは「PayPay」に対抗するため自社の決済サービス「d払い」を強化している。いずれにしろ、メルカリの株価は当面、世界的な金融緩和と財政支出の影響で上下にはげしく株価は動くと思われるので、今後の株価の動きには注意が必要だ。

(画像5)メルカリの株価推移

以 上

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