「塾ナビ」のイトクロ、決算計画どおりも成長感が消失、今後の行方は?

 「塾ナビ」「みんなの専門学校情報」「コドモブースター」などの教育関連の送客サイト(教育領域特化型メディア)を運営しているイトクロ。2023年10月期は黒字で着地したものの、ネットビジネスの売上規模が伸びず、利益がでなくなった。今後のイトクロの業績と株価はどうなるのか?

「塾ナビ」のイトクロ、利益浮上も売上高の伸びは停滞したまま、今後の行方は?(2023年9月10日投稿)

競合他社で苦戦?塾検索サイト「塾ナビ」のイトクロの停滞つづく!送客ビジネスの行方は?(2022年12月11日投稿)

■基本情報(2023年12月8日時点)

  • 株価:370円(10年来高値:3,825円)
  • 時価総額:84億円
  • 予想PER:27.2倍
  • PBR:0.84倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:90.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:3,542人(2022年10月31日時点)

■イトクロの業績は?

 イトクロの2023年10月期の売上高は39.4億円(前年比△0.4%減)、営業利益3.9億円(前年は△2.0億円)と減収黒字転換となった。イトクロの売上総利益率は+87.7%(前年は+88.3%)、営業利益率は+9.8%。

 イトクロの売上総利益は前年の34.9億円→34.6億円と△0.3億円の減少、販管費は前年の36.9億円→30.7億円と△6.2億円の減少となり、差し引きで+5.9億円の営業利益増となった。販管費減の理由は、リスティング広告の単価が下落したことが主要な要因と決算説明資料で記載している。

■イトクロの事業状況は?

 イトクロの業績全体をみると、売上高が伸びておらず、売上総利益が減少しており、成長感がでていない業績となっている。安定益に利益を出せればよいものの、リスティング広告の単価の増減で収益が変動してしまう状況で、ビジネスモデルの危うさを感じる。

 「塾ナビ」「みんなの専門学校情報」「コドモブースター」合算のウェブメディアのユニークユーザー数の推移を見ると、完全に横ばいになっている。また、ユニークユーザー数は2018年、2019年よりも高い水準で推移しているものの、売上規模は2018年、2019年比で減少している点が悩ましい。送客に対する顧客(塾など)から受け取る報酬単価が減少していることが要因だ。

■イトクロの財務状況は?

 イトクロの2023年10月末時点の財務諸表をみると、現預金は84億円、投資有価証券4.1億円となっている。負債は、有利子負債ゼロ、未払法人税等が1.8億円となっている。現在のイトクロの時価総額約83億円は、現預金と投資有価証券の合算とほぼイコールで、事業価値はゼロとの株式市場の判断と言えるだろう。

■イトクロの株価推移は?

 イトクロの時価総額は約83億円。現預金を84億円もっており、事業価値はゼロの評価と言えるだろう。イトクロの事業をみていると、クックパッドのような事業環境の変化による収益の激減が心配される。イトクロは現預金をたくさん保有しているものの、新規の事業投資にチャレンジしておらず、グロース銘柄としての期待感はゼロだ。

 ただし、言い換えると、何か新しいチャレンジをして芽がでると、事業の評価が大きく変わる点に留意は必要だ。少子化で対象の最終ユーザーが増えないことが見えており、既存事業だけでは売上高が大きく成長することはないだろう。

(画像1)イトクロの株価推移

以 上

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