ネットショップ作成支援のBASE、先行投資重なるも事業規模は着実に拡大中!

 ECサイト作成支援サービス「BASE」や決済システムの「PAY」を展開しているBASE(ベイス)。積極的なテレビCMなどでBASEという企業名を目にする機会が増えてきた。BASEは着実に成長しているものの、テレビCMなどの広告宣伝費が重なり、営業利益は赤字に転落。当初から予定した計画であるものの、成長率も20%台に落ち込み、BASEの時価総額と事業価値のギャップに失望した売りがつづいている。すでに株価は高値から半値以下に下落中だ。

ネットショップ作成支援のBASE、広告宣伝の強化で営業赤字見通し!(2021年2月13日投稿)

無料ネットショップ作成サービスのBASE(4477)、流通額拡大による決済手数料で稼ぐ!株価好調(2020年11月15日投稿)

■基本情報(2021年8月11日時点)

  • 株価:1,170円(10年来高値:3,448円)
  • 時価総額:1,296億円
  • 予想PER:ー(赤字予想)
  • PBR:8.08倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:55.9%
  • 会計基準:日本基準

■BASEの業績は?

 BASEの2021年12月期の第二四半期の売上高は46.8億円(前年同期比+27.2%増)、営業損失△2.7億円(前年同期は+6.1億円の黒字)と増収減益となった。BASEの売上総利益率は+57.4%(前年同期は+61.2%)と下落傾向となっている。

 BASEはECサイト作成支援サービスの「BASE」と決済サービスの「PAY」の2つの事業をおこなっている。「BASE」の売上総利益率は+60%前後、「PAY」は+9.6%前後となっている。「PAY」の占める売上高が増えているため、BASE全体の売上総利益率が下落傾向となっている。

■BASEの事業状況は?

 「BASE」事業は堅調に進んでおり、総取扱高(GMV)は2021年12月期の第二四半期で281億円(第一四半期は257億円)。「PAY」の総取扱高は134億円(第一四半期は108億円)と四半期対比でも増加傾向となっている。

 「BASE」のネットショップ数(アクティブ)は5.8万ショップ、1ショップあたり月間の平均取扱高は15.9万円となっている。「BASE」はECサイトの作成を支援し、そのショップの決済時(BASEかんたん決済手数料とサービス利用料)に手数料(約6.6%)を取るビジネスモデルとなっている。よって、いかにショップ数と取扱高を増やしていくかがKPIとなっている。「BASE」によるショップ開設累計数は150万ショップを超えており、言い換えると、継続的に新規ショップを集めないと総取扱高(GMV)が落ち込んでしまう。

■BASEの決済代行サービス「PAY」とは?

 「PAY」は決済サービスをサイトに導入できるもの。いわゆる、決済代行サービスというものだ。決済手数料はベーシックプラン(月額費用ゼロ)は3.0%~。プロプラン(月額費用1万円)は2.59%~のサービス。競合のサービスとしては、ベリトランス、Square(スクエア)、STORES決済(旧Coiney)、GMOペイメントゲートウェイ、ROBOT PAYMENT、Paygent、PayPal、Airペイ(リクルートグループ)、SBペイメントサービス(ソフトバンクグループ)、Paygentなどがある。

 GMOペイメントゲートウェイはGMOグループの筆頭稼ぎ頭。決済代行サービスは事業が軌道に乗れば、それほど固定費が増えずに仲介手数料を取ることができる事業モデル。ROBOT PAYMENTは非上場会社であるものの、上場企業のベクトル、エアトリ、オークファンなどが出資している期待の企業のひとつ。

 BASEの「PAY」はVISA(ビザ)やJCB、アメリカンエクスプレスなどのクレジットカード決済ができるもの。ほかの決済代行サービスよりも低い手数料が特徴で、導入費用もかからない。現在は「PAY.JP Seed」という利用企業からの紹介を受ければ1年間無料というキャンペーンによりサービス対象を拡大させている。

■BASEの株価推移は?

 BASEの時価総額は約1,300億円。いまの事業規模や利益などを考えると、企業価値と時価総額が大きく乖離しているように見える。市場の見方も同じで、2020年10月に高値をつけてから、すでに半値以下まで株価は下落している。いまでも割高に見える。

 ただし、BASEは2020年9月に海外投資家向けの公募増資により約120億円を調達しており、財務状況は万全だ。BASEをECサイトの支援サービスと考えると、時価総額1,300億円は割高かもしれないが、いまの成長期待は決済代行サービスの「PAY」のほうではないか。ただし、「PAY」の年間の取扱高は約450~500億円前後。先行しているGMOペイメントゲートウェイ(売上高400億円、営業利益130億円)は年間約8兆円の総取扱高。BASEの株価はかなり期待が先行していないだろうか?

(画像1)BASEの株価推移

以 上

 

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